映画『遊星からの物体X』の「それ」登場シーンの製作秘話 (4/5ページ)
このショットの撮影準備時間は10時間も要したのです。
最初のテイクののち、カーペンター監督は「ラスベガスの噴水のようだ」とリテイクを命令。ハラハンは再び準備をするために、何時間にも渡ってテーブルの下に設置されたハーネスに固定されたままでした。幸い、テイク2で監督のOKが出たそうです。
「それ」は5ガロンにものぼるゴム、フォームラテックス、ゼラチン、クリームコーン、マヨネーズ、イチゴジャム、潤滑ローションでできており、アニメーションは指人形、マリオネット、ラジコンワイヤー、油圧クレーン、ケーブルといったものも組み合わされています。
カーペンター監督が「マジックショーのようにカメラの前で演じてみせろ」と要求したため、撮影のディーン・カンディはライティングなどを駆使して、観客に映画の中の重力やライティング、物理といったものを受け入れ、「不信の宙づり」を喜んでもらえるようにしたのでした。
しかし、この「不信の宙づり」を実現させることに相当な時間がかかったため、俳優をイライラさせたなんてことも......。
ハラハンの頭がちぎれるシーンを再現するために、ボッティンは電子レンジで加熱したガムや溶けたプラスチックといった、可燃性の高い物を頭部と首に使用しました。
当時、スタッフは可燃性ガスの恐ろしさを認識していなかったので、続く炎のシーンのために、特に考えることもなくカメラの下の火格子棒に火をつけたのです。
当然ながら、ボッティンが作ったハラハンモデルに着火し、爆発して激しく燃え上がり、修復不可能なまでに破壊されるというアクシデントに見舞われました。