映画『遊星からの物体X』の「それ」登場シーンの製作秘話 (2/5ページ)
そして、最終的にコーエンの大学の元クラスメイトであったジョン・カーペンターに白羽の矢が立ち、「それ」と生き物が融合する真面目なホラーが製作されることとなったのです。
監督が決まり、スタジオはすぐさまテレビドラマ『がんばれ! ベアーズ』シリーズで知られる脚本家のビル・ランカスターを雇用。『影が行く』は1951年にクリスティン・ナイビイ監督の手によって映画化されていますが、当時は技術の問題もあり、エイリアンがフランケンシュタインのようなモンスターとして描かれています。
リメイクするにあたって、カーペンター監督とスタジオはオリジナルの「取り込んだ生物に同化、擬態して増殖」という特性をできる限り忠実に再現しようと考えました。
しかし、これは極めて困難な挑戦だったようです。というのも、1つのモンスターを作るのとは異なり、原作に忠実な「それ」を表現する場合、幾つものモンスターとクリーチャーを生み出す必要がありました。
そこでカーペンターの大ファンだった、24歳の野心溢れる特殊メイクアーティストのロブ・ボッティンがチームに迎え入れられました。ボッティンは特殊メイクアップアーティストのリック・ベイカーと14歳の頃から共に仕事をして技術を磨き、『ハウリング』では狼男の変身シーンを担当。
そして、1980年には撮影監督のディーン・カンディの紹介でジョン・カーペンター監督と知り合い、『ザ・フォッグ』で特殊メイクを担当したことがありました。
カーペンターはストーリーボード・アーティストのマイケル・プルーグと共に、見せ場となるシーケンスの構想を描き起こしました。そして、オフィスにやってきたボッティンに「これ、どうやったら実現できるかわかるか?」と聞いたそうです。しかし、ボッティンはそれに「いや」と答えたとのこと。
彼は当時を思い出し、「非常に難しいと思った」とコメントしています。