ある日突然左側通行が右側通行に変わる。歴史に名を遺す大規模社会実験となったスウェーデンの「ダゲン・H(右側通行の日)」 (2/4ページ)
だが、スウェーデンはそれを粛々とやり遂げた。『タイム』誌によれば、ドライバーや歩行者の懸念の聞き取りや、改正を周知する効果的な方法を探すために、心理学者が登用され、この社会実験を成功させようと、警察が道路に動員された。
ダゲン・Hが迫ると、大規模なPRキャンペーンが展開された。テレビでは作曲コンテストが催され、右側通行の歌が作られた。ストックホルムのデパートでは、後ろに大きくHと刻印された紳士靴が販売された。さらに国中に「3.9.1967」とだけ記載された標識が建てられた。その意味は国民の誰もが知るところとなった。
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また、改正に備えるため、国内の道路網に膨大な手を加える必要があった。道路標識が変更され、バスの停留所も反対側に移設された。大都市では、路面電車が撤去され、右側にドアを備えたバスに取り替えられた。新しく設置された道路標識は黒いビニールで覆われたまま、来る日に備えられた。
右側運転施行当日
9月3日の午前1時からはスウェーデン中で車の通行が規制された。午前5時までには道路から不要な交通が消え去った。公務員たちはその夜のうちに出勤を済ませている。
午前4時、ストックホルム最大の交差点に人だかりが集まり始めた。『グラスゴー・ヘラルド』紙によれば、当日はほとんどお祭り騒ぎだったようだ。スカンジナビア半島の空を花火の光が満たし、歌声がこだました。ある往来の激しいジャンクションでは、ジャーナリストが待ち構え、客が掴めそうだと集まったストックホルム中のタクシーがどうなることかと見物している。