70年前のハイブリッドカー!? 「変人博士」フェルディナント・ポルシェの足跡 (4/4ページ)
世界最大最強の戦車を作れば、ソ連など簡単に捻り潰せる。実際の戦争というのは1両の超大型戦車ではなく50両の中型戦車がモノを言うのだが、この男にそんな現実は見えていなかった。
「100トン級の戦車を作れ!」
無茶も甚だしいこの要求に、フェルディナント・ポルシェは真っ先に手を挙げた。
早い話が、ヒトラーの誇大妄想とフェルディナントの無限の創作意欲は相性が良かったのだ。日を追うごとに「100トン級戦車もまだ小さい」と言い出して聞かなくなった独裁者の指示にも、フェルディナントは一切文句を言わなかった。
そうして完成したのが超重戦車『マウス』である。128ミリ砲と75ミリ砲を同軸に備えたこの化け物の重量は、何と188トンに上った。現代の自衛隊が装備する10式戦車ですら、全備重量は44トンである。
しかも、そのような戦車にすらも、フェルディナントはハイブリット式駆動装置をちゃんと装備させた。
だが、案の定、188トンという重量は足回りに大きな負担をもたらした。そもそも整地でも時速20キロを出すのがやっとという代物だ。大体、こんなに重くては橋を渡ることができない。だから潜水機能を施されたのだが、それも単独では不可能だ。陸上に同じ型のマウスか発電機を用意して、水中の車両に電気を送らなければならない。要するに、実戦では使い物にならない戦車だったのだ。
もっとも、フェルディナントのアイディア自体は現代になって花開いている。昨今次々と市場に投入されているハイブリッドカーは、彼の考えたコンセプトの正しさを証明している。
数十年の時を経て、変人博士フェルディナント・ポルシェは、大きな道筋を与えてくれたのだ。
【参考・画像】
※ The new Porsche 911 Carrera – Porsche newsroom
※ Everett Historical / Shutterstock
※ photo-uny / PIXTA
【動画】
※ The new 911 Carrera – Ever ahead – YouTube