70年前のハイブリッドカー!? 「変人博士」フェルディナント・ポルシェの足跡 (3/4ページ)
何しろトランスミッションが省ける。電圧の調整だけで速度を変化させることができるのだから、操縦手にとってはこの上なくありがたい戦車だ。いや、そうなるはずだった。
だが、ポルシェ社製の戦車と現代の“ハイブリッドカー”が違うのは、性能のいいバッテリーがあるかないかだった。第二次大戦当時の使用に耐えられるバッテリーといえば、潜水艦に搭載されるものだ。
しかし、それを戦車が積むにはあまりに巨大過ぎる。「バッテリーがない」というのはあまりにも大きなハンデで、結局この戦車はガソリンエンジンで発電機を動かし、そこからの電力でモーターを回すというややこしい構造になってしまった。
これならば、従来通りのトランスミッションのあるガソリンエンジン駆動車の方が簡単である。そしてVI号戦車計画は、ポルシェ社とヘンシェル社のコンペという形で進められていた。正式採用はヘンシェル社にかっさらわれてしまった。
ヘンシェル社VI号戦車は、採用直後に『ティーガー』と名付けられた。そして連合国軍の車両を次々とスクラップにした恐怖の重戦車として、歴史にその名を刻むことになる。
実を言うと、フィルディナントのもとに不採用通知が届いた時点で、ポルシェ社は戦車のシャーシを90両分も生産していたのだ。この辺りは兵器局の許可を飛び越えて、ヒトラーから直々にお墨付きをもらった結果らしい。
ヒトラーはIII号戦車に搭載する主砲の件で、兵器局とモメていたことがある。そういう事情もあり、ポルシェ社は採用決定の前に、シャーシを量産する権限を与えられていた。
この90両はまた別の駆逐戦車に改造され、開発者と同じ『フェルディナント』という名前を授かることになった。
■ 重過ぎた重戦車

source:https://pixta.jp/
変人博士フェルディナント・ポルシェの“活躍”は、これに留まらない。
戦時中、ヒトラーの誇大妄想は戦車設計にも影響を与えた。