現役牧師と現役僧侶が激突、禁断の対バンに潜入!!「牧師ROCKS vs 坊主バンド」 (2/4ページ)

デイリーニュースオンライン

いよいよ、牧師と坊主がガチバトル! いきなり殴り合いか!?

 MCは曹洞宗・石田さん。まずは会場の宗教勢力図(ファン層)をチェック。ややキリスト教派(牧師ROCKSを見に来た人)が多いような印象。

「なんと……。黒船以来の衝撃ですね。無信教もまたよし。信じるも自由、信じぬも自由です! 今日はバチバチで、ある意味“宗教いくさ”なんでね。ギリギリアウトな発言もあるかもしれませんけど、そのへんよろしくお願いいたします。とにかく、死ぬほど楽しんでください! あ、死んじゃっ たらちゃんとお葬式しますんでね(笑)」

 お笑いコンビでも活躍中というだけあって、キレキレのMCを見せてくれた。お客さんは大爆笑。ユーモアがあるお客さんたちばかりだ。

 そして両バンドのリーダーが登場。ここではちょっと書けないくらい、遊び心たっぷりなdisが繰り広げられる。お互い詰めより、にらみ合う。一触触発か!? と思いきや、正々堂々と握手。これも会場を盛り上げるパフォーマンス。エンターテインメント性あふれる二人だ。

人類最古の古典芸能「○○洗い」とは……? 中立な前座の登場

 前座でセクシーJさん(お笑い芸人)が登場。上半身裸、胸毛がワイルドである。紅白のねじり鉢巻、白い褌、腰にはしめ縄を巻いている。仏教でもない、キリスト教でもない中立な奉納芸(ご本人曰く“神道”)を見せてくれるそうだ。歌舞伎、文楽、それらよりももっと古い、人類最古の古典芸とも言われる芸を披露。これを先祖代々受継ぐのがセクシーJなのだとか。そのネーミングに一瞬ギョッとしたものの、講談師のように朗々と、そして堂々と語るセクシーJさん。

 世間ではやれ右だ左だと騒がしいが、右でも左でもない、ど真ん中にあるのが大事な玉なのである。大事なものは真ん中にあるのである。四股を踏み、祝詞をあげながら玉をなでる。祝詞がいつの間にか「ポロリズム」に。Per○umeもびっくりなキレのあるダンスを披露。

 その後は、ドジョウすくいならぬ玉すくいで、お触りタイムも。さわった人には「コレステロールが下がる」、「自分だけのおしゃれが見つかる」、「しゃがんでも膝が痛くなりにくい」といった、ちょっとしたご利益が!? キュートなTシャツも販売していた。

坊主バンド登場。「かわいいキミと解脱がしたいな」、「とにかくお布施が基本です!」

 四ツ谷・荒木町にある坊主バーのメンバーで構成された、お坊さんバンド。不定期でライブ活動などをしている。演奏前には“ボーズ連絡”あり。本日のライブは60歳以上への慈悲の心として、壁際に椅子が用意されていた。年配の方にも配慮されている。舞台袖からステージをちらっと見たが、坊主がチューニングをしているだけで面白い。ずるい。

 ミラーボールがまわり『お成り~』の掛け声と、おりんの音に導かれ、粛々と入場するボーズたち。たすき掛け、手甲、草履で固めた足元。そしてさりげなく呂の着物。装飾より実用を重視した格好である。これは……本気で勝ちに来ているぞ。虚無僧スタイルの人もいる!

「O・S・Y・O! オショー!!SAN!」といきなり歌われると、吹き出すしかない。会場は冒頭から笑い声と歓声で大盛り上がり。

「朝から晩まで法事さ~、法事さ~♪お経ベラべラ暗記さ~、暗記さ~♪」
「どうしてそんなにお布施が高~い? 和尚さ~ん、和尚さ~ん♪」
「火をつけろ~♪ 蝋燭と線香と焼香に~♪」
「かわいいキミと解脱がしたいな~♪ いつでもキミと悟っていたいな~♪」
「足しびれた~! 誰もお経聞いてねぇ~! ……1回忌も3回忌やらないだと!?」

 などなど、ポップな胸キュンソング、お坊さんあるあるや悲哀をユーモラスに表現した曲まで、聞いているだけで笑顔になるものばかり。お客さんも笑いっぱなし。

 MCではお寺の現状を憂うトークも。お寺の数は約7万5000箇寺、コンビニエンスストアは約4万店。なんと、お寺はコンビニより数が多いのだ。藤岡さんは「コンビニ、頑張れ~?」と一見余裕そうだが、現状は大変らしい。葬儀の方法は多様化し、それ以前に生活とお寺が遠い存在になってきている。だからこそ、こうしたイベントが重要になってくるのだろう。そしてMCが非常に上手だ。

 続いて披露された『お寺に入ろう』は、坊主バンドを代表する曲でもある。ノリノリなロックンロール「宗教ろっく」。ツイストで踊る坊さんを初めて見た。また「宗教入れば結婚できる! お金が儲かる! 宗教最高!!」と高らかにシャウトしたあと、「こうした宗教にはお気を付けください」という皮肉の利いたコメントがあり、宗教全般への偏見をやんわり取り除きつつ、偏った考えにはさりげなく注意を促すような印象があった。

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 坊主たちは販売促進にも余念がない。「皆さん、お寺に来てくれると嬉しいです。そして物販でグッズを買ってくれるともっと嬉しいです。値段は1000円から。あとは“お気持ち”です(合掌しながら穏やかな微笑みを浮かべる)」

 リーダー藤岡氏のソロコーナーでは、実体験をもとにした切ない弾き語りも披露された。先ほどまでテンション高く絶唱していた姿とは対照的に、眠れぬ夜に作ったという幼き日の淡い恋心を歌い上げる。ウィンドシンセサイザーを演奏するのは、檀家さんで元プロだそう。

 皆さんお持ちの「煩悩」についてのお話も。煩悩は捨てたいと思うものだが、実は悪いだけのものでもないらしい。煩悩は生きるエネルギーでもあり、うまく付き合っていくことが大切なんだとか。なんだかちょっと気持ちが楽になった。

 最期、いや、最後にふさわしい(?)「霊柩車に乗って」でラスト。霊柩車に乗り焼き場に行くシチュエーションの曲。感傷的な気分になるかと思いきや、お坊さんたちにとってはこれも日常の風景の一部なのだ。みんなで楽しく、あの世行き極楽往生バスツアーに乗っているかのような、朗らかな曲だった。こんな往生なら悪くない。

 坊主バンドを一言で表現するならば、『和を以て尊しと成す』集団だろうか。観客に優しく、魅力があり、包容力がありすぎて、この人たちとならあの世に行ってもなんとかなりそう……と思わせてくれる。また、お坊さんたちの言葉に対する会場のリアクションも温かかった。

 坊主バンドには三人の檀家さんも参加していた。皆さん忙しくて、集まっての練習は4、5回しかできなかったそうだが、あくまでも語り(説法)がメインなので、演奏は控えることを意識していたそう。坊主バンドの魅力について聞いてみた。

「堅苦しくないところですね。普段、我々やお坊さんが思っていることをぶっちゃけてくれるから、すごく親しみやすいんです。曲もただの面白ネタではなくて、そこにアンチテーゼが含まれていますし。世間一般の仏教やお坊さんに対するイメージをいい意味で裏切ってくれます(笑)」

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