投資を始めたいなら知っとくべき!2016年にスタートする制度2つ
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気づけば、今年も残すところ約3ヶ月。毎年のように色んな制度が追加・廃止・変更されます。そしてそれは2016年も例外ではありません。
今回は2016年から始まる制度を2つ、ファイナンシャルプランナーである筆者がお伝えいたします。
■1:金融所得課税の一体化
税制上、2015年までは上場株式等(上場株式+公募株式投信)と公社債等(公社債+公募公社債投信)は異なる取扱いでしたが、2016年からは税制上、これらが統一されます。まずは、2015年までの公社債等の税制を振り返ってみましょう。
・公社債等の利子等・・・20.315%(源泉分離課税)、上場株式等との通算不可。
・公社債等の譲渡損益・・・原則非課税、総合課税の所得や上場株式等との通算不可。
・公社債等の償還損益・・・累進税率(総合課税)、上場株式等との通算不可。
・割引債の償還差益・・・18.378%(源泉分離課税)、他の所得との通算不可。
2015年までは上記のような制度でしたが、2016年からは、特定公社債等の利子や収益分配金、譲渡損益・償還損益について、20.315%の税率となります(申告分離課税)。そして、上場株式等と公社債等で損益通算や譲渡損失の3年間の繰越控除も可能になるということです。
例えば、外貨建MMF(米ドル建)を1ドル=95円の時に10万ドルを購入していて、1ドル=120円の時に10万ドルすべての売却を考えている場合、売却益は250万円になります。もし、2015年12月までに売却したのであれば、この250万円は全額非課税になりますが、2016年1月以降に売却すれば、250万円×20.315%=507,875円の税金がかかります。
2016年以後は、公社債等の譲渡(償還)益は原則、確定申告が必要となりますが、特定口座の対象になりますので、“源泉徴収あり特定口座”を選択することにより、確定申告を不要にすることが可能なのです。
■2:財産債務調書制度
所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から“財産債務調書”の提出制度が創設されました。所得税等の確定申告書を提出する必要がある方で、総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、且つその年の年末の財産価額が3億円以上または有価証券等の価額が1億円以上の人が対象となります。
財産の種類、数量および価額、並びに債務の金額にくわえ、財産の所在、有価証券の銘柄や取得価額等を記載する必要があります。
対象者でありながら、財産債務調書の提出が提出期限内にない場合や記載すべき財産または債務の記載がない場合、その財産または債務に関して所得税の申告漏れが生じた際、過少申告加算税等が5%加重されます。
いかがでしたか? 金融所得課税の一体化も視野にいれながら投資を行い、いつか財産債務調書を提出できるぐらいの財産を築きたいですね。
(鍛治田祐子)
【参考】
※ 財産債務調書制度に関するお知らせ – 国税庁
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