スカウトの眼力はホンモノか? 過去20年間のプロ野球ドラフト1位競合選手を振り返る

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今年のドラフトも、競合の末に生まれたドラマがあった!
今年のドラフトも、競合の末に生まれたドラマがあった!

 今年も待ちに待ったプロ野球ドラフト会議が開催され、各球団が期待の精鋭たちを獲得した。今年の1位競合選手は4人。クジの結果は以下の通りだ。

髙橋純平(県岐阜商高・投手)
○ソフトバンク  ×日本ハム  ×中日

平沢大河(仙台育英高・遊撃手)
○ロッテ  ×楽天

小笠原慎之介(東海大相模高・投手)
○中日  ×日本ハム

髙山俊(明治大・外野手)
○阪神  ×ヤクルト

 特に平沢と髙山はそれぞれ楽天とヤクルトが1位指名宣言をしていたところへの思わぬ横槍。相思相愛をかっさらわれた形となった。

 1位競合選手は球団、ファンの期待も高まるばかり。そこで今回、ここ20年間(1996年〜)のドラフト1位競合選手を一挙に振り返ってみたい。

 各球団歴代スカウトの眼力は果たしてホンモノなのか?1位競合選手は活躍しているのだろうか?

5球団以上が競合した選手は意外とパッとしない!?

 過去には1989年のドラフトでの野茂英雄や1990年の小池秀郎に8球団が競合したこともあったが、ここ20年間では6球団競合が最大。

【2007年・高】佐藤由規(仙台育英高・投手)
○ヤクルト  ×楽天、巨人、中日、横浜

【2007年・大社】大場翔太(東洋大・投手)
○ソフトバンク  ×日本ハム、オリックス、巨人、阪神、横浜

【2007年・大社】長谷部康平(愛知工業大・投手)
○楽天  ×西武、ロッテ、広島、中日

【2009年】菊池雄星(花巻東高・投手)
○西武  ×日本ハム、楽天、ヤクルト、阪神、中日

【2010年】大石達也(早稲田大・投手)
○西武  ×オリックス、楽天、阪神、広島、横浜

【2013年】松井裕樹(桐光学園高・投手)
○楽天  ×ソフトバンク、日本ハム、中日、DeNA

 5球団が競合しただけあって、すさまじい選手揃い……と言いたいところだが、現段階で活躍しているのは菊池雄星と松井裕樹の新星2人。

 ヤクルト・由規は高卒2年目で先発ローテ入りを果たし、ヤクルト期待のホープになったが、2011年に右肩痛を発症して長期離脱。以後、1軍登板がなく、来季は育成枠となる見通しだ。

 大場、長谷部、大石もケガとの戦いが続いている。菊池雄星も入団当初は左肩痛で苦しんでおり、アマチュア時代の快投のツケは考慮すべきだろう。

 松井裕樹は2年目の今年、クローザーに抜擢されると33セーブを挙げた。防御率は12球団守護神の中では今季最高の0.87。菊池雄星と松井、どちらが先にタイトルを手にするかにも注目したい。

4球団競合選手のタイトル獲得率は7分の3!

 続いて20年間での4球団競合は7人。

【1997年】川口知哉(平安高・投手)
○オリックス  ×近鉄、ヤクルト、横浜

【2001年】寺原隼人(日南学園高・投手)
○ダイエー  ×巨人、中日、横浜

【2006年・高】田中将大(駒大苫小牧高・投手)
○楽天  ×日本ハム、オリックス、横浜

【2007年・高】中田翔(大阪桐蔭高・外野手)
○日本ハム  ×ソフトバンク、オリックス

【2010年】斎藤佑樹(早稲田大・投手)
○日本ハム  ×ソフトバンク、ロッテ、ヤクルト

【2012年】藤浪晋太郎(大阪桐蔭高・投手)
○阪神  ×ロッテ、オリックス、ヤクルト

【2014年】有原航大(早稲田大・投手)
○日本ハム  ×阪神、広島、DeNA

 近年の高校野球を沸かせたスターが並ぶ4球団競合選手。田中と中田はタイトルホルダーでもあり大活躍。藤浪も今季、最多奪三振で初タイトルを獲得した。

 有原はルーキーイヤーの今季8勝。寺原と斎藤も1年目から1軍で6勝を挙げており、5球団競合よりも意外な穴場感がある。

3球団競合は1軍戦力間違いなし!?

 3球団が1位競合した選手は10人。

【1998年】松坂大輔(横浜高・投手)
○西武  ×日本ハム、横浜

【1999年】河内貴哉(國學院久我山高・投手)
○広島  ×近鉄、中日

【2006年・高】堂上直倫(愛工大名電高・内野手)
○中日  ×巨人、阪神

【2007年外れ1位・大社】篠田純平(日本大・投手)
○広島  ×オリックス、巨人

【2007年外れ1位・大社】服部泰卓(トヨタ自動車・投手)
○ロッテ  ×日本ハム、西武

【2011年】高橋周平(東海大甲府・投手)
○中日  ×オリックス、ヤクルト

【2011年】藤岡貴裕(東洋大・投手)
○ロッテ  ×楽天、横浜

【2012年】東浜巨(亜細亜大・投手)
○ソフトバンク  ×西武、DeNA

【2013年】大瀬良大地(九州共立大・投手)
○広島  ×阪神、ヤクルト

【2013年外れ1位】柿田裕太(日本生命・投手)
○DeNA  ×日本ハム、阪神

 抜群の球威で1年目から新人王に輝いた松坂をはじめ、3球団競合のカテゴリで、育成中かつ外れ競合の柿田を除けば、1軍戦力にならなかった選手はなし。東浜も厚い選手層ゆえに1軍定着とはなっていないが、谷間の先発で結果を残しつつある。今年、ソフトバンクが交渉権を得た高橋純平も1軍戦力になること間違いなし!?

2球団競合もコンスタントに好選手に成長!

 2球団による競合は27人。

【1998年】新垣渚(沖縄水産高・投手)※入団せず
○オリックス  ×ダイエー

【2002年】高井雄平(東北高・投手)
○ヤクルト  ×近鉄

【2005年・高】片山博視(報徳学園高・投手)
○楽天  ×広島

【2005年・高】辻内崇伸(大阪桐蔭高・投手)
○巨人  ×オリックス

【2005年・高】陽仲寿(福岡第一高・内野手)※現・陽岱鋼
○日本ハム  ×ソフトバンク

【2006年・高】大嶺祐太(八重山商工高・投手)
○ロッテ  ×ソフトバンク

【2006年・高】増渕竜義(鷲宮高・投手)
○ヤクルト  ×西武

【2007年・高】唐川侑紀(成田高・投手)
○ロッテ  ×広島

【2007年外れ1位・高】高濱卓也(横浜高・内野手)
○阪神  ×横浜

【2007年外れ1位・高】岩嵜翔(市船橋・投手)
○ソフトバンク  ×中日

【2008年】大田泰示(東海大相模高・内野手)
○巨人  ×ソフトバンク

【2008年】松本啓二朗(早稲田大・外野手)
○横浜  ×阪神

【2008年】野本圭(日本通運・外野手)
○中日  ×楽天

【2008年外れ1位】藤原紘通(NTT西日本・投手)
○楽天  ×阪神

【2010年外れ1位】伊志嶺翔大(東海大・外野手)
○ロッテ  ×オリックス

【2010年外れ1位】塩見貴洋(八戸大・投手)
○楽天  ×ヤクルト

【2010年外れ外れ1位】山田哲人(履正社高・内野手)
○ヤクルト  ×オリックス

【2011年】菅野智之(東海大・投手)※入団せず
○日本ハム  ×巨人

【2011年外れ1位】松本竜也(英明高・投手)
○巨人  ×横浜

【2012年】森雄大(東福岡高・投手)
○楽天  ×広島

【2012年外れ】増田達至(NTT西日本・投手)
○西武  ×広島

【2012年外れ】松永昂大(大阪ガス・投手)
○ロッテ  ×オリックス

【2013年】石川歩(東京ガス・投手)
○ロッテ  ×巨人

【2013年外れ1位】杉浦稔大(國學院大・投手)
○ヤクルト  ×ソフトバンク

【2013年外れ1位】岩貞祐太(横浜商科大・投手)
○阪神  ×日本ハム

【2014年】安樂智大(済美高・投手)
○楽天  ×ヤクルト

【2014年】山﨑康晃(亜細亜大・投手)
○DeNA  ×阪神

 2球団による抽選となった選手も並べてみると好選手の存在が一目瞭然だ。やはり各球団が欲しがる逸材が大成する確率は高い。球界全体と俯瞰してみると、スカウトの眼力は“ホンモノ”といって間違いないだろう。

 今年の2球団競合選手である小笠原慎之介、平沢大河、髙山俊はどこまで成長できるか。“戦力”として大きな期待を抱いてもよさそうだ。

文=落合初春(おちあい・もとはる)

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