【未解決事件の闇23】女性編集者失踪・容疑者Xの痕跡を訪ねて (2/2ページ)
だけど、あないな風になって捕まるとはよもや思いませんでした」
おばさんはサスペンスドラマのあらすじを井戸端会議で熱く語る主婦のように、口から泡を出すように興奮して話した。Xの性癖からすると、部屋で何をしていたのかは言わずもがなだろう。
「それって何号室だったんですか」と聞くと、おかみさんは「あんたの泊まってた○○号室や」と答えた。僕が昨晩寝たベッドこそが、二人が毎晩一緒に過ごしたベッドだった。辻出さん失踪の後、Xの実家のそばの家で二人で住むことになるが、それまでの3ヵ月、この部屋でXはA子との仲をはぐくんでいた。そして1998年11月19日、A子はホテルを飛び出し、名古屋に戻っている。XとA子のケンカが原因だった。A子は気性の荒い女で、Xとつかみ合いのケンカをしたこともあった。A子が名古屋に向かった19日、Xは別居中の当時の妻・佳美に「俺、警察に捕まるかもわからへん」と電話しているそうだから、X自身、A子にふるった暴力のひどさを自覚したのかもしれない。
同棲していたのがこの部屋なのだから、ケンカしたのもこの部屋に違いない。XとA子がケンカしなかったら、辻出さんの運命は一変していたのだろう。僕はまさに辻出さんの運命を変えるきっかけになった、その現場に泊まったということらしかった。おかみの話を聞き、おぞましくて虫ずが走った。
※つづく
Written&Photo by 西牟田靖