消された名前…北朝鮮「葬儀委リスト」の怪 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

消された名前…北朝鮮「葬儀委リスト」の怪

北朝鮮の軍の長老、李乙雪(リ・ウルソル)元帥が7月に死去。それに伴って発表された葬儀委員会のリストが関心を集めている。

その第一の理由は、金正恩氏の最側近のひとりとして知られる崔龍海(チェ・リョンヘ)党書記の名前がないことだ。

李乙雪氏は金日成主席とともに日本軍と戦ったとされる「パルチザン」の出身であり、その戦友の息子である崔龍海氏は「パルチザン2」世だ。パルチザン出身者とその子孫は、金一族の周りを固める核心的な支配階層だ。李氏の葬儀委員に崔龍海氏が名前を連ねないなど、従来の慣例からは考えられない。

崔龍海氏は10月31日の時点で北朝鮮メディアに登場しており、粛清や更迭が行われたなら最近のごく短い間の出来事ということになる。

もちろん、他の理由で葬儀委から排除された可能性も、まったく排除されるわけではない。崔龍海氏は過去、収賄や変態性欲スキャンダルの醜聞に塗れ、地方に放逐されたこともある人物だ。もしかしたら李乙雪が、個人的には顔も見たくないほど嫌っていたということもあり得る。

ただ、崔龍海氏と同じパルチザン2世の呉日晶(オ・イルジョン)党民防委部長をはじめ、葬儀委に選ばれて当然と思われる人々の名前がいくつも欠けており、リストが正恩氏の側近グループの「異変」を示している可能性を考慮しないわけには行かない。

現時点までに、デイリーNKジャパンの独自調査で浮上した崔龍海氏以外の名前を列挙すると、次のようになる。末尾は、最後に北朝鮮メディアの報道で公式活動が確認された時期。

◆金春三(キム・チュンサム)第1副総参謀長兼作戦局長 4月

◆韓光復(ハン・クァンボク)党科学教育部長 6月

◆安政秀(アン・ジョンス)党軽工業部長 5月

◆呉日晶(オ・イルジョン)党民防委部長 6月

◆李載佾(リ・ジェイル) 党宣伝扇動部第1副部長 8月

◆崔英健(チェ・ヨンゴン)内閣副総理 2014年10月

上記のうち、崔英健氏については今年5月に銃殺されたとの説がある。

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