未だ解読できない8種の古代文字

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未だ解読できない8種の古代文字

 紀元前2600~1900年頃、現在のパキスタンとインド北西部に栄えたインダス文明は500年以上もの間世界で最も進んだ地域だった。モヘンジョダロなどの巧みに計画された大規模な都市が複数存在したこの文明は文字も残しているが、その意味は誰にも分からない。  ネイチャー誌で、アンドリュー・ロビンソンがインダス文明の文字の解読が難しい理由を考察している。彼によれば、元の言語について全く不明であり、ロゼッタ・ストーンのような他言語の石碑もないため、研究者はその構造を手がかりに他の文字と比較を続けるしかないことがその原因だ。  インド学者の多くは、シュメール人の楔形文字やマヤ文字のようなロゴシラバリー(全ての文字が形態素とその発音の音節を表す文字体系)であるが、話し言葉や完全な文字体系とは異なると考えているという。また、インダス語の一部のみしか表していないと考える研究者もいるようだ。最近では、インダス文字の言語資料が公開された。また、その無作為性をコンピューターで解析することで、何らかの言語を表していることが確認されている。  こうした未解読の文字はインダス文字だけではない。解読が待たれる8種の文字を見ていこう。 記事提供=カラパイア

1. 線文字A

出典: karapaia

 1893年、イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズはアテナの蚤の市で謎の文字が刻まれた古代の石を購入した。クノッソス発掘のためにクレタ島へ渡ったとき、彼はその石にあったシンボルを発見し、クレタ島の各地から出土した文字入りの粘土板の研究に乗り出した。2種類の文字体系が発見され、それぞれ線文字Aと線文字Bと呼ばれている。線文字Bは1950年代に解読され、初期のギリシア語を表すことが判明してるが、線文字Aは未解読である。

2. クレタ聖刻文字

出典: karapaia

 クレタ島からは3番目の文字体系も出土している。これは象形文字のような見た目であるが、線文字Aと同じシンボルも使用している。同時期に使用されていた線文字Aの元になった文字だと推測されている。

3. ワディ・エル・ホル刻文

出典: karapaia

 1990年代、イェール大学の考古学者がエジプト、ワディ・エル・ホルで落書きに覆われた崖を発見した。彼らはそのほとんどに見覚えがあったが、見慣れぬ文字も幾つかあった。象形文字がアルファベットに変化したその初期の形に似ているが、未だ解読されていない。

4. シトヴォ碑文

出典: karapaia

 1928年、きこりの一団がブルガリアの崖に刻まれたマークを発見した。財宝のありかを示す印と考えた彼らだが、何も発見されていない。やがて、考古学者の知るところとなるが、調査の責任者がソ連のスパイだとして処刑されたこともある。その証拠として使われたのが、責任者がキエフに送った奇妙な暗号であった。これは実際には、同僚に送られた崖の碑文の写しであった。この碑文が表す言語は今のところ不明であるが、トラキア語、ケルト語、サルマト-アラニア語、スラブ語などが候補に挙げられている。岩が自然に形成した模様という説もある。

5. オルメカ文字

出典: karapaia

 オルメカは古代メキシコに存在した文明で、巨石人頭像を残したことで知られる。1999年、道路の建設業者が文字が刻まれた石板を発見したことで、文字の存在が明らかとなった。石板には62種類のシンボルが描かれ、トウモロコシや虫らしきものもあるが、より抽象的なものもある。紀元前900年頃のものと推測されており、西半球では最古の文字である可能性がある。

6. シンガポール・ストーン

出典: karapaia

 かつてシンガポール川の河口には文字が刻まれた砂岩製の巨大な厚板があった。700年間そこに存在したと見られるそれは、1819年にジャングルを伐採していた労働者によって発見された。数人の学者が調査しているが、イギリス人の入植を保護する要塞を建設するために爆破されてしまった。破片の一部は回収されたが、大半が川の中に沈むか道路の砂利に使用されている。未解読であるが、古代セイロン語、タミル語、カウイ語、古ジャワ語、サンスクリット語などではないかと推測されている。

7. ロンゴロンゴ

出典: karapaia

 1860年代にイースター島に宣教者が訪れた時、シンボルが刻まれた木製板が発見された。彼らが土着民のラパ・ヌイにその意味を尋ねると、ペルー人によって知識階級が殺害されてしまったため、誰にも分からないと言われたという。ラパ・ヌイは木板を薪や釣りのリールとして使っており、19世紀末までにはほとんどが失われている。ロンゴロンゴには記述の向きが変化するという特徴があり、左から右に読んだ後は、板を180度回転させて次の行を読むようになっている。

8. 原エラム文字

出典: karapaia

 5,000年以上前に、現在のイランに当たる地域で使用されていた。右から左に記述する。同時代のメソポタミアが起源にも見える一方、どうやら独自のシンボルを発明したようだ。また、オックスフォードの研究者は、当時の人が秩序だった記録をわざわざ取ろうとしなかったと感想を漏らしている。その研究者は粘土板の鮮明な画像を公開し、解読方法を公募したことがある。本プロジェクトは現在も進行中だ。

via:8 Ancient Writing Systems That Haven't Been Deciphered Yet・translated hiroching

記事提供=カラパイア

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