囚人のジレンマから考える「非合理的な残業」をしてしまう理由 (2/2ページ)
一方、残業をしなかった方の評価はぐんと下がり、メリットが-5になってしまいます。
2人とも残業した場合、頑張って働いてきたほどの評価は得られず-3だったとします。
この場合、2人の状況を箇条書きにすると、
Aは残業なし、Bも残業なし:Aは+1、Bも+1
Aは残業あり、Bは残業なし:Aは+5、Bは-5
Aは残業なし、Bは残業あり:Aは-5、Bは+5
Aは残業あり、Bも残業あり:Aは-3、Bは-3
になります。何が言いたいかもうお分かりですね?
残業するのが当たり前になっていて、残業時間等で評価してしまう会社に勤めている場合、「あの人も残業してるから、自分も残業しなきゃ」となる心理が働きやすくなるのです。
今回は一例として残業に注目してみましたが、この理論は合コンや仕事をサボる上司などさまざまな場面で考えられるのです。
いかがでしたか?
本文中に“心理”という言葉を使いましたが、実は“ゲーム理論”と呼ばれる経済学の考え方の1つなのです。今の時代、残業で評価する会社は激減していると信じていますが、もしあなたの会社にそのような風潮があるのなら、みんなが+1になるように動いてみるのもいいかもしれませんね。
(鍛治田祐子)
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