【最新AIの基礎知識②】山川先生、今ドキの人工知能ってどうやって作るんですか?

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【最新AIの基礎知識②】山川先生、今ドキの人工知能ってどうやって作るんですか?

※ 前回の記事はこちら
【最新AIの基礎知識①】山川先生、今ドキの人工知能って自分で学習するんですか?
http://nge.jp/2015/11/20/post-123681

AI(人工知能)、特に『汎用人工知能』は最近のテクノロジーを語る上で重要なキーワードだ。

クルマの自動運転や医療、家事や災害救助のロボットなど、様々な分野での活躍が期待されているのだが、そもそもどういったものなのか?

そんな【最新AIの基礎知識】、第1弾は『汎用人工知能』とはどんなものかを探ってみた。

そして後編となる第2弾、今回のテーマは「『汎用人工知能』はどう作るのか?」だ。

お話をお聞きするのは、前回と同様、ドワンゴ人工知能研究所の所長で、今年8月にNPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)を設立した山川 宏氏だ。


■ NPO法人「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」とは?

8月に設立されたばかりの『全脳アーキテクチャ・イニシアティブ』ですが、どんな団体なんですか?

山川先生、

<『汎用人工知能』を『全脳アーキテクチャ』というアプローチで作ろうというNPO法人です。

将来的に『汎用人工知能』は、医療や環境問題、地域紛争など様々な社会問題を解決できるものとして期待されています。

ですが一方で、強力なAIにより“悪い事が起こるうる”ことも懸念されています。例えば、

・人間の職や尊厳が奪われる
・感情移入し過ぎて、恋愛対象がAIになる
・自律兵器などへの使用
・(映画『ターミネーター』的な)AIの反乱

などなど。

ただ、いずれにしろ「いつか、どこかで、作られる」ことは間違いないです。もし、我々が作らなくてもですね。

なので、『汎用人工知能』を作ろうとしている立場の我々としては、AIの影響を早めにいろんな方々に理解してもらうために、情報をオープンにした『開発コミュニティ』という形で、研究などを行うことにしました。

現在、『汎用人工知能』を作っている組織や団体には、お金持ちが資金投資をして、情報をクローズドし、利益が出たらその人たちだけで分配するというやり方をしているところもありますが、私たちはそういった形でない方が良いという立場をとっています。

“みんなで開発して、みんなで共有する”という、公益性が重要だということで、(今年8月に)NPO法人として『全脳アーキテクチャ・イニシアティブ』を設立しました。>

■ 脳に近いAIを作るのが「全脳アーキテクチャ」

『全脳アーキテクチャ』ってどんなものなんですか?

山川先生、

<今、世界中でいろんな組織が『汎用人工知能』を作ることを発表していますが、アプローチも様々なんです。そういった数ある選択肢のひとつですね。

source : http://wba-initiative.org/

具体的にどんなことかと言うと、

■1:脳の各器官にある程度似ている機械学習(ディープラーニング等)のモジュールを開発
■2:複数の機械学習モジュールを、脳の繋がり方を参考にしながら繋げる

といったアプローチです。これにより、かなり脳に近い『汎用人工知能』ができると考えています。

で、そういったアプローチの中でも、特に我々が注力しているのは(2の)“繋げる”部分です。

(1の)機械学習モジュールは、今世界中でいろいろ個別に開発されているので、我々がいちから全て作る意味はあまりない。それよりも、それらを最終的に脳のような形で繋げる共通のプラットフォームがあった方がいい。

そこで、『Brain-inspired Computing Architecture(ブレイン・インスパイアード・コンピューティング・アーキテクチャ)』というプログラム下で、個々のモジュールをみんなが共通して使え、交換したり入れ替えたりできるソフトウエア環境を模索しています。

また、同時にそこに集まる人々のコミュニティも作りたい、というのが目標ですね。>

■ 完成は15年後の2030年!?

そういった目標達成のために、どういったことをやられるんでしょうか?

山川さん、

<このアプローチを実行するには、人工知能の知識だけでなく、神経科学や認知科学、機械学習など広い分野での知識が必要なんです。

そのために、我々は、この団体の前身でもある『全脳アーキテクチャ勉強会』を2013年から行っています。いろんな分野の方に参加してもらうためです。

また、様々な機械学習モジュールを“繋げる”ソフトウエア開発などのために、ハッカソンの企画や開催も行っていきます。

今後は、同じようにオープンなアプローチをとっている、海外の組織とも連携を取りたいと思っています。

完成時期の目標は、15年後の2030年です。『汎用人工知能』を作るだけでなく、再来するかもしれない冬の時代にもしっかりと歩んでゆける、芯の強いAI開発人材を育てたいですね。

前述の通り、我々は開かれた“開発コミュニティ”を目指しています。是非、いろんな方々に参加してもらえれば、と思っています。>

多くの有志を募り『汎用人工知能』に挑む『全脳アーキテクチャ・イニシアティブ』。

現在、各種賛助会員や運営や研究のボランティアも募集中で、学生はもちろん、会社員だけど休日だけでも手伝いたい方などでもOKだそうだ。

興味がある方は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか?

【取材協力】

※ 山川 宏 – ドワンゴ人工知能研究所
1965年生まれ。東京理科大、東京大学大学院での研究を経て、富士通研究所入社。
現在は、ドワンゴ人工知能研究所にて所長を務める。電気通信大学大学院情報システム学研究科客員教授。工学博士。
また、人工知能学会の副編集委員長にして汎用人工知能研究会主査。
専門は、人工知能、特に、認知アーキテクチャや概念獲得。

【参考・画像】

※ 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)

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