「死」を想像することで、生きる意味を見つける「体験」をしてほしい 川村元気インタビュー(2) (1/3ページ)
出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
第75回となる今回は、90万部を超えるベストセラーとなり、映画化、オーディオブック化などさまざまな形でメディアミックスが進む大ヒット作『世界から猫が消えたなら』の作者の川村元気さんが登場してくださいました。
『世界から猫が消えたなら』は、川村さんにとって初めての小説です。余命わずかと宣告された郵便配達員のもとに現れた悪魔との取引によって、1日生き長らえる条件として世界から1つ何かを消してゆく、という普遍的で力強いストーリーがどのようにできあがったのか。それよりもまず、映画プロデューサーだった氏がなぜ小説を書くことになったのか!?
川村さんご本人にたっぷり語っていただきました。
■「死」を想像することで、生きる意味を見つける「体験」をしてほしい
――シンプルですが普遍的なストーリーが特徴です。余命を宣告された主人公のもとに悪魔が現れ、世界から何か大事なものを一つ消すことで一日生き長らえるという取引を持ちかけます。このストーリー作りにおいてどんなことを大事にされましたか?
川村:この世界に存在すべきなのにまだ存在していない物語とか、語られているべきなのに語られていないことを見つけてきて形にしたいという気持ちが根幹にあります。それは『世界から猫が消えたなら』に限ったことではなくて、次に書いた『億男』にしてもそうです。「お金持ちになれる」とうたっている本はたくさんあるけども、果たしてお金持ちになることを皆が幸せだと思っているのか? それよりも知りたいのはお金と幸せの関係なのではないか? そもそも「お金そのもの」についてエンターテインメントとして語っているものがあまりにないので書いてみたいと思ったんです。
最近思うのですが、たとえば、駅前の郵便ポストの上に熊のぬいぐるみが置かれていたら、そこを通る人はみんな気づくとは思うんです。でも、足を止める人はいなくて「なんであそこにあるんだろう」とか「誰かの忘れものかな」などと気にしつつも素通りしてしまっている。