「死」を想像することで、生きる意味を見つける「体験」をしてほしい 川村元気インタビュー(2) (2/3ページ)

新刊JP

僕のやっていることって、そんな状態のぬいぐるみを持ち上げて「これ、誰のですか!?」と叫ぶことなんじゃないかと思っています。

――主人公は、世界から何かを一つ消す決断をするにあたって「自分にとって大事なものは何か?」を考えるのですが、なかなか答えが出ません。自分も含めて、こういうところに共感する人は多いのではないかと思います。

川村:「自分ならどう考えるだろう」と思いながら書いていましたね。たとえば世界から「電話」を消さないと生き延びられないとなった時、最後に誰かに電話するとしたら誰にかけるんだろうか、とか。何か消せと言われても決められないだろうな、とも考えましたし。

――先ほどのお話に出た「創世記」もそうですが、作中には川村さんが見聞きしてきた映画や音楽、文学がちりばめられています。このあたりからは創作の土壌の厚さが感じられますね。

川村:昔から本はよく読んでいましたし、映画も音楽も大好きでした。僕が映画に携わろうと思ったのは、映画の中には自分の好きなものが全部入っているからなんですね。文芸も入っていますし、音楽もファッションも美術も入っています。それらの要素が集まって映画ができている。
僕は小説を書く時、映画の中から文芸の要素を取り出して書いている気がしますし、絵本を書く時はアートの要素を取り出して書いている気がします。それと、どうしても映画にうまく収まらないものや映画が得意としないものもあるので、そういうものを小説にしているところもありますね。

――「映画が得意としないもの」とはどういうものですか?

川村:たとえば小説の場合「世界から猫が消えた」と書けば、そのタイトルから読者が想像を膨らませて「猫がいない世界」をイメージしてくれます。でも、映画だとそうはいかなくて、「猫が消えた世界」をシーンとして表現するのはものすごく難しいことです。
そういう意味でいうと「オーディオブック」は文章の方に近いですよね。音声を聞いた人が「猫が消えた世界」を想像してくれますから。

――また、この作品からはさまざまなメッセージも読み取れます。川村さんが特に伝えたかったのはどんなことだったのでしょうか。

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