吉田豪インタビュー企画:紀里谷和明「死んでもいいと思ってやってると何かが発生する」(3) (2/5ページ)

ケンカのときはお互いにグローブをつけて
──「表出ろ」って言われたときは殴り合いに発展するんですか?
紀里谷 ……年上から言われたら僕は出ません。年下から言われたら出る。
──そのへんはちゃんと線引きされてる。
紀里谷 だって年上やっちゃったって、そんなのって感じするじゃないですか。年下から言われたら敬意を表して出る。そいつが曲がりなりにも先輩に対してそうやって言うっていうことは、それなりの覚悟をもって言ってるわけだから。
──……でも紀里谷さん、キックボクシングやってますよね?
紀里谷 うん(あっさりと)。で、いろいろありーの、これはいかん、と。後輩にも「俺をそういう状況にさせちゃダメよ」と頼んだのよ。そしたら「飲むときには車のなかにグローブぐらい入れときましょうね。やるのはいいんだけど、今度からグローブを着けてやりましょう」とか、ホントにそういう話し合いがなされたんですよ。
──ルールがある闘いをしましょう、と(笑)。
紀里谷 そう。とか「相手が倒れないように、うしろから支えるというリングを作りましょうね」とか。
──なるほど、ロープ代わりにみんなが支える。
紀里谷 うん。ホントそんな話しましたよ(笑)。
──聞けば聞くほど好きになってきますね(笑)。
紀里谷 そうですか。そうやって口車に乗せられて俺があんまり言うと……大丈夫?
──ダハハハハ! 大丈夫ですよ!
紀里谷 日本の社会はわかんないからさ! 京都で「お茶漬け食ってって」って言われて、食ったらたいへんなことになっちゃうとかあるじゃん。あれよ。あれが日本に対して俺が思ってる感覚。
──「ぶぶ漬け食えって言ったから食べただけじゃん!」っていう。
紀里谷 そうそうそう! それと同じ感覚を僕は日本全部に対して持ってる。
──どこまで信じていいのかわからない。
紀里谷 あと、「これ名刺もらっていいのかな?」とか、「どっちに置くんだっけ?」とか、脚を組んだら怒られるんだろうなとか。
──意外と気を遣ってるのもわかりますよ。
紀里谷 意外と気を遣ってるんだけど、そのルールがまだよくわからないから、探り探り。でも大丈夫です、信じてます。
──読んだ人がみんな紀里谷さんのことを好きになるような記事になるように頑張りますよ。
紀里谷 うん、それは日本一だって聞いてますからね。聞き方がうまい!
──誉められた!
紀里谷 いや、これ新しい! だって、あまり質問しませんよね?
──そうなんですよ。基本、流れに任せる感じで。
紀里谷 これだ!
──自分の主張はそんなにいらないと思ってるんで。
紀里谷 それで相手にしゃべらせるというね。
──なんとなく舵取りするぐらいで。
紀里谷 その手には乗りませんよ!
──ダハハハハ!
紀里谷 どうぞどうぞ、どんどん聞いて。
──時間大丈夫ですか? そろそろタイムアップのはずなんですけど。
紀里谷 いや、まだ大丈夫でしょ? もう飽きました?
──いや全然。まだいいんですかってだけの話ですよ。
紀里谷 俺は全然楽しい! この会議室は2時間取ってあるから。