吉田豪インタビュー企画:紀里谷和明「死んでもいいと思ってやってると何かが発生する」(3) (3/5ページ)

女性には尻に敷かれたいとどこかで思っている
──まだいいんだ! じゃあザックリしたこと聞いてもいいですか? 好きな女性のタイプは?
紀里谷 来た! 好きな女性のタイプ……これね、いつも言ってるのは、一緒に闘ってくれる女。俺がなんか撃ってたら、「はい」って銃弾の入ったマガジンを渡してくれるような感じ?
──「表に出ろ」って言われたらグローブを出すような。
紀里谷 そうそうそう、そんな感じ。「これ忘れないで!」「負けてきちゃダメよ」みたいなのがいいなと思うんですけど、でもやっぱりそこで「行っちゃダメ! そんなことしちゃダメ!」って言う女がいいんでしょうね、グローブを渡すよりも「わかったから! はい座って!」って言ってくれる女が。やっぱりどっかで精神的に僕はMなんだと思うんですよ。普段全然Mじゃないんですけど、自分が敵わないっていう女が欲しい。どっかで尻に敷かれたいんでしょうね。でも、なかなかいない(笑)。
──基本、日常会話の当たりが強いタイプじゃないですか。
紀里谷 強い。
──それを尻に敷くのはなかなか難しいでしょうね。
紀里谷 難しい。そこを圧倒的な何かで敵わないって思わせてくれる人がいればいいですね。料理がうまいとか、そんなのだったら俺だって練習すりゃできるよってなっちゃうし。もっと圧倒的な、浅田真央ちゃんみたいな、「そんなこと俺は絶対無理だよ!」「そりゃ敵わねえよ!」っていう相手がいい。
──宇多田さんの歌みたいに、何か圧倒的なものがあれば。
紀里谷 そう、圧倒的に。「これはもう敵わない、OK!」っていう。
──4AD(※紀里谷氏が好きな音楽レーベル)じゃ勝てないってことですよね。
紀里谷 そうそうそう(笑)。なんでもいいんだけど、それがあれば俺は幸せだな。だって教えるだけだったら簡単じゃないですか。なんか教わりたいんだと思う。
──人間関係にもそういうことを求めてます?
紀里谷 そりゃそうですよ。やっぱり俺の友達関係でキッチリ腹を割って話すみたいなことってあんまりないんですよね。一番仲がいいとされてるようなヤツらって、どっかでその人たちも何か背負ってるから、そこまで見せられないっていうのがあって。YOSHIKIとかもそうだし。仲良くいろいろ話すんだけど、最後まで見せられないよっていう親分気質みたいなところがあるわけですよ。
──YOSHIKI、GACKTなんてホントにロックスターとしての幻想をとことん守ってる二大巨頭ですからね。
紀里谷 そうそう。よっちゃんのほうがまだ……こういうこと言うとアレだけど(笑)。あとは先輩後輩みたいになっちゃうから、ホントに対等な関係はあんまりないですね。下の名前で呼び捨てで呼び合うとかほとんどない。だから山田孝之とか綾野剛とか見てるとうらやましいなと思うもんね。唯一、先輩になっちゃいますけど岩井さんにはいろいろ相談するし、ありがたい存在だな、いつも。
──最初のイメージは悪かったとはいえ。
紀里谷 悪かったとはいえ。優しい人だし。
──SUGIZOさんと音楽的な共通点があったっていうのは、ストンと腑に落ちた感じですね。
紀里谷 そうですか? スギちゃんだけですよ、俺が言ってることを100%理解してくれるのは。ふつうわかんないから。
──意外と河村隆一さんも音楽的にはそっち系なんですよね。
紀里谷 そうなんだ! ちゃんと話したことないから今度話そう。スギちゃんは全部理解してくれる。あ、スギちゃんもいろいろ悩みとか聞いてくれるな。俺のどうしようもない悩みを理解してくれる。
──今回の『ラスト・ナイツ』を作ってる最中に全部嫌になったみたいな話をしてましたけど、そういうようなことも相談するんですか?
紀里谷 もっと根源的な悩みを彼は聞いてくれる。YOSHIKIはもっとポジティブなイケイケな人なんだけど、スギちゃんはきわめて俺とベクトルが似ていて。この最悪な世界でどう生きようか、どう向き合うのか、みたいなところがテーマになってるんで。
──SUGIZOさんは基本、真面目な人ですよね。
紀里谷 基本は真面目だから、どうやったら自殺しなくて済むのか、みたいな話になっちゃいますね。