吉田豪インタビュー企画:紀里谷和明「死んでもいいと思ってやってると何かが発生する」(3) (5/5ページ)

デイリーニュースオンライン

丸くなったけど、まだまだ波風が立つ!?

──今回この取材にあたって、紀里谷さんのこといろいろ調べれば調べるほど好きになりましたよ。

紀里谷 そうですか! ほら!

スタッフ よかったですねえ。

紀里谷 よかった!

──当時知ってたら、毛皮反対のクラウドファンディングにも協力してましたよ。

紀里谷 やっぱり表に出て行かないとダメなんですね。どう思います? 僕はこれからどうすればいいですか?

──いまのままでいいと思いますよ。このぐらいの露出というか。

紀里谷 クイズ番組とかは出なくていい?

──『しくじり先生』ぐらいの尺でちゃんとやらせてもらえるといいんですけどね。

紀里谷 そうなんですよね。こないだキングコングの西野(亮廣)君にも言われたんだけど、「紀里谷さんは何十秒とかじゃわからない。ちゃんとキッチリ30分以上取って話を見せられるような番組じゃないと」って言われた。そうみたいですよ。

──西野さんもいけすかない国の人ですからね。

紀里谷 なんなんですかね? 俺はあの人見てて何も問題ないと思うけどな。

──基本、人に対してそんなにネガティブな感情を抱かないタイプなんじゃないですか?

紀里谷 うん。あんまりないね。よっぽど上から高圧的にくるオッサンとかは嫌だけど。権力の笠を着るとか、肩書でやるような人は嫌だな。昔からそうだった。学校の先生とか上級生とか、意味がわからなくて。なんの権限でそんなこと言ってんだよって。

──大人になってからそういうことに直面することは?

紀里谷 いっぱいあるじゃないですか。「どこそこの会社のナントカだけど」って言われることもあるし。そしたら帰っちゃうし。

──帰っちゃうんですか?

紀里谷 うん。こないだ銀座に呼ばれて飲んでたの。俺の知り合いがいっぱいいて、そのなかに取引先のナントカみたいな人がいて、まだ若いわけですよ。それが酔っ払ってて、「なになに? 映画を撮ってんだって? 俺、何度か映画に金出したことあるよ」とか言ってきたの。「年下だろ!」と思って。面倒くせえなと思って。しかしながら俺の友達の友達だから、あんまり言えないし。「それ何? いくら必要なの?」とか言うから、「30億ぐらいいただけますか」って言って(笑)。そしたら静かになっちゃって。それで俺が、「でしょ? 出せないでしょ? じゃあそっち座ってくださいよ」って言って。そういうのすごく嫌。

──年上、年下を気にしますね。

紀里谷 俺、ちょっとそういう縦割りの意識があって。年下にはフラットに接してるつもりなんだけど、年上の人にはちゃんとやる。ちょっと儒教の精神がどっかにあるの。

──ダハハハハ! 上下関係がキッチリした世界。

紀里谷 そう(笑)。だから、俺、礼儀正しい三代目 J Soul Brothersとか、EXILEのMATSUさんとか超話がしやすい。

──音楽的な接点はゼロじゃないですか。

紀里谷 音楽的にはゼロだけど、なんとなくその雰囲気は俺はすごいやりやすいわけ。

──ちなみに取材で怒ることはあるんですか?

紀里谷 あのね、それはしません! 沸々と思うことはありますよ。僕が一番嫌なのは、どんな人でもプロフェッショナルと呼ばれてる人がその人の本分をやっていないときに怒りがこみ上げてくる。「それでプロと呼んでいるんですか?」って。だからインタビューをする人がインタビューをちゃんとしていない、人の話を聞いていない。そもそもこういう答えをいただきたいというようなことで、こちらが言ってることをまったく聞きもせずに次の質問にいっちゃうと、「おまえなんなの?」っていうのがある。あと理解力に乏しい人たち。言ってることを理解しない人たちが、中途半端にインタビュアーとかライターとか言って来るのがすごく嫌。

──でも、その場では怒らない?

紀里谷 いや、怒ったら怒る。怒らないようにしてるんだけど、なるべくわからないようにして。でも、なんだってそうだと思いますよ。俺、子供の頃に教師がちゃんと教えてないなと思ったのよ。ホントに嫌、そういうの。それは言っちゃう。こないだも専門学校の理事長に面と向かって言っちゃった。

──講演のときですね(笑)。

紀里谷 なんで言っちゃうのかな……で。そういうのが多いんですよ、だいぶ減らしましたけど。

──だいぶ丸くなったけど、まだまだ波風起きそうな気がします。

紀里谷 ウチの親父もそういう人だったな。いまだに言っちゃうもんね。

──ボクのなかでちょっとした未来予想図ができてるんですよ。この流れでテレビに出ていくうちに誰かとぶつかるんだろうなって(笑)。

紀里谷 いや……。

──雑なイジり方をされたときにカチンときたり。

紀里谷 こないだもちょっと、ここまで出たんだけど我慢した(笑)。

──楽しみですよ、生放送で大物に雑なイジられ方をしてあきらかにスイッチ入るとか、帰っちゃうとか。事故を起こす気がしてるので。

紀里谷 でも、そういうのはいかんと思うんですよ。次の日に微妙に自己嫌悪に陥るんですよ、僕は。「また言っちゃったな……あぁ……」っていうのがあるんで、なるべくそうならないようにしてます。親父がそういう人だったから。こないだも何百人の前で、「あなたがたは詐欺ですから」って言ってて。みんな笑って許してたけど。そんな感じですね。

──お時間ですね。

紀里谷 大丈夫ですか? こんなんでどうにかなりそうですか?

──無茶苦茶おもしろかったですよ。みんな誤解してますよってボクも大々的に言っときますよ。

紀里谷 言っといてください! でも、そんなひどいんだね。全然わからないからさ。みんな俺の周りでそんな顔しないし、言わないじゃん。

──ボクも人生で絶対に接点がない人だと思ってましたからね。

紀里谷 それくらい言われてるってことだよね。ヤバいね。なにとぞとよろしくお願いします。

──了解です!

紀里谷 なにとぞ鎮火を。

(取材・文:吉田豪)

『ラスト・ナイツ』

 忠臣蔵をベースに“最後の騎士”たちの戦いを描いた>紀里谷和明のハリウッドデビュー作。

 監督:紀里谷和明 出演:クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマン、伊原剛志、他 

 提供:DMM.com 配給:KIRIYA PICTURES/ギャガ (C) 2015 Luka Productions

プロフィール

映画監督

紀里谷和明

紀里谷和明(きりやかずあき):1968年、熊本県出身。15歳で単身渡米し、アートスクールでデザイン、音楽、絵画、写真などを学び、パーソンズ美術大学で建築を学ぶ。卒業後は写真家、映像クリエイターとして活動。2004年にSFアクション『CASSHERN』で映画監督デビューし、2008年にはアドベンチャー時代劇『GOEMON』を発表。このたび、監督作第3弾となる『ラスト・ナイツ』でハリウッド・デビューした。

プロフィール

プロインタビュアー

吉田豪

吉田豪(よしだごう):1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。また、近著で初の実用(?)新書『聞き出す力』も大きな話題を呼んでいる。

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