最高裁「赤ペンで斜線引かれた遺言書は無効」ーー遺言書無効の条件とは? (2/2ページ)
「自筆証書遺言を加除訂正するには、遺言者が、その個所を指示し、変更内容を記載して、署名押印を行う必要があります(民法968条2項)」(中島宏樹弁護士)
「例えば、加除訂正を行ったものの、署名押印を忘れた場合には、加除訂正は無効となり、抹消前の遺言が有効となります」(中島宏樹弁護士)
「さらに遺言者が故意に破棄した場合には、その部分については、撤回したものとみなされます(民法1024条)」(中島宏樹弁護士)
■自筆証書遺言が無効になる条件に新たに追加された「赤いボールペンで斜線」
今回、最高裁が初判断を示した「赤いボールペンで斜線がひかれた遺言書は無効」は、元々1、2審では有効であると判決が出ていた。有効であると判断したのはどのような理由だったのだろうか。
「赤いボールペンで斜線がひかれた自筆証書遺言の効力が争われた事案において、広島高裁は、赤いボールペンで斜線がひかれたとしても、元の文字が判別できる以上、遺言者が故意に破棄した場合には当たらないとしました」(中島宏樹弁護士)
中島宏樹弁護士が上述したように、民法1024条に照らし合わせて、赤ペンの斜線が遺言の撤回にはならないというのが理由だったようだ。しかし最高裁はその判決を破棄した。
「最高裁は、『赤色ボールペンで文面全体に斜線を引く行為の有する一般的な意味』に照らして、『遺言者がその遺言書の全体を不要なものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れと見るのが相当』と評価し、遺言者が故意に破棄した場合には当たるとしました」(中島宏樹弁護士)
確かに「赤ペン」と聞けば、添削や修正を思い浮かべる人が多いだろう。要はその多くの人が持つイメージと照らし合わせて、遺言書も無効としたということだろう。
■遺言書を作成する本当の目的を忘れずに!
煩わしい手続きがなく、費用もかからない自筆証書遺言。
紙とペンと印鑑さえあれば、一人でいつでも容易に作成できるため、遺言書を作成するなら真っ先に検討するのではないだろうか。
しかし冒頭述べたように、遺言書を作成する本当の目的は、自分の死後に争いを起こさないことである。遺された家族のために良かれと思った行為が、法的効力を持たない遺言書によって逆効果になってしまっては本末転倒だ。
もしも遺言書の作成を考えている方は、どのような形式で遺言書を遺すか、慎重に検討していただきたい。