【美濃加茂市ポスター騒動】炎上の背景に”ツイフェミvsアニメファン”の対立

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問題になった美濃加茂市のポスター
問題になった美濃加茂市のポスター

 岐阜県・美濃加茂市観光協会が人気アニメ「のうりん」とコラボしたスタンプラリー宣伝ポスターに「女性差別」であると批判が寄せられ、イラストを差し替えられたことが話題になっている。これに限らず、最近はフェミニズムの観点から企業や自治体が大炎上する事態が頻発。ネット上では「当然の結果」「フェミの暴走」と賛否両論が巻き起こっている。

「ツイフェミ」VS「アニメファン」の対立が激化

 同アニメは美濃加茂市をモデルに、農業高校の生徒たちを描いた学園ラブコメディ。原作は白鳥士郎氏によるライトノベルでアニメ化の際に美濃加茂市が全面協力し、同市はファンの「聖地巡礼」の対象となっていた。

 これまでも市は同作のキャラクターを使ったポスターを複数制作していたが、なぜか今回に限って炎上。ネット上で「これは完全にセクハラ」「女性の目から見て不愉快きわまりない」「人権侵害だ」などと批判が殺到した。

 今回のポスターに起用されたのは良田胡蝶というキャラ。バスト94cmで「ボイン良田」と呼ばれ、作中随一の巨乳という設定。農作業着に身を包んでいるが、巨乳が服に納まりきらず谷間がくっきり見えていた。また、ほんのりと上気したような顔つきになっており、それも性的なイメージを喚起する原因になったと思われる。

 猛批判が吹き荒れる一方、ネット上では以下のような擁護意見も多く上がっていた。

「観光に来る気もない連中の意見を気にする必要ない」
「フェミは当たり屋みたいなもの。ケチをつけたいだけの奴らに屈したらダメ」
「のうりんと美濃加茂市はすごくいい関係。何も知らない人たちが荒らすな」

 ポスター批判の中心となっているのは、Twitterでフェミニズム的な言動を繰り広げている「ツイフェミ」と呼ばれるユーザーたち。たまたまポスターがツイフェミたちの目に入り、大炎上したという構図のようだ。

 萌えキャラをめぐっては、三重県志摩市の17歳の海女キャラクター「碧志摩メグ」が同じくネット上で猛批判され、市が公認を取り消す騒動が起きている。また、人気フィギュア「コップのフチ子さん」のパロディーである「コップのカドでグリ美ちゃん」が「女児を性的に扱っている」と批判され、大手書店の一部店舗で取扱い中止になる事態も。

 相次ぐ炎上によって、ネット上では「ツイフェミ」と「アニメファン」の対立構造が激化。「オタクは差別主義者」「ツイフェミは『表現の自由』の敵」などと互いに攻撃しあう不毛な状況になっている。

おにぎりマネ騒動を彷彿? スバルCMにも「女性蔑視」の猛批判

 炎上騒動は萌えキャラに限ったことではない。

 11月下旬には、スバルの新型フォレスターのCM動画が「女性蔑視」だと炎上。同CMはサーフィンに行く夫と、それについて行く妻子を描いたファミリー向けの内容。海で夫がサーフィンを楽しんでいる間、妻と子供は車のトランクに座って眺めているだけ。帰りは疲れ果てた夫と子供が車の後部座席で眠ってしまい、妻が運転している場面で終わる。

 妻はバックミラーで夫と子供の寝顔を眺めながら微笑んでおり、CMソングに使われているスピッツの名曲と相まってホンワカした雰囲気なのだが、これにツイフェミたちは猛反発。「趣味に付き合わせた挙句に運転させるなんて男尊女卑」「男の幻想を女に押し付ける差別的な内容」「妻は奴隷なの?」などと批判が殺到した。

 これにサーファーの夫を持つ女性ライター・はなさんが「冬の海に一人で行かせたら危ない」「サーフィン後は疲弊しているので自分で運転するのは危険」と、ネットメディア『おたくま経済新聞』の記事で反論。アウトドアが嫌いな妻を無理やり連れていくなら問題だが、安全や効率を考えれば妥当な判断で現実のサーファー妻たちは男尊女卑の認識は全くないと訴えた。

 しかし、当事者からの意見があっても論争は収まらず。ツイフェミたちからは「本人が好きでやってるかどうかの問題じゃない」などと批判が噴出し、2014年の夏の甲子園で話題になった「おにぎり女子マネ」を引き合いに出して「美談にすることで女が息苦しさを感じる」といった意見が上がった。

企業は事なかれ主義…今後もジェンダー炎上は増加か

 さらに今秋には、牛を擬人化したAGF「ブレンディ」のCMが炎上。鼻に輪っかをはめた高校生たちが卒業式を迎えるという設定で、主人公の女子生徒は男性教員から「濃い牛乳を出し続けるんだよ」とメッセージを送られる。ブラックな風刺CMといったところだが、女子生徒を乳牛に見立てたり胸の揺れが強調されたりといった部分が「性差別を助長する」「女子高生を露骨に性の対象にしている」と批判を浴びた。

 また、今春にはJR東日本グループの商業施設「ルミネ」のCMが炎上。男性の上司が「顔が疲れてる。寝てないの?」「寝て、それ?」などと部下のOLに嫌みを連発し、そこに女子力の高いモテ系OLが登場。上司は「やっぱ可愛いよな~、あの子」と呟き、その後一人になった部下のOLが鏡の前でため息を漏らすと「変わりたい、変わらなきゃ」というナレーションが流れる。これにも「セクハラ上司に気に入られるためにルミネで服を買えってこと?」などと猛反発が起きた。

「誰も不愉快にならない表現は存在しませんから、CMに苦情はつきもの。しかし、昨今はジェンダー関連の炎上騒動が特に目立っており『フェミニストの尾を踏まない』ためのチェック体制が業界内で急務になっています。しかし、ネット上で騒ぎ立てるノイジーマイノリティの声に屈してばかりだと、表現行為が窮屈になってしまう。時には毅然とした対応も必要ですが、企業は事なかれ主義に染まっているので騒いだ者勝ちになっている」(広告代理店関係者)

 CMばかりではなく、紀伊國屋書店渋谷店の『本当は女子にこんな文庫を読んで欲しいのだ。』と題したフェアも「女をバカにしている」と炎上。存在自体を知らない人が多かった「人工知能学会」の学会誌も、表紙に女性型メイドロボットを描いたことで「女性蔑視だ」とネットで大炎上した。

 もはや「ジェンダー炎上の年」だったといっても過言ではない2015年。攻撃的すぎるとも感じられるフェミニストたちの言動には賛否両論あるが、この流れは年をまたいでも続きそうな気配だ。

夢野京太郎(ゆめのきょうたろう)
芸能から社会問題、ITニュースやヤバいスジの話題まで幅広くカバーするフリーのジャーナリスト。雑誌への匿名寄稿やゴーストライターとしての活動も多く、あまり表舞台には出たがらない性分。
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