女子高校生、ギャル、少女…3名の写真家が「女の子」を撮る視点は何が違う? (5/5ページ)
逆に80mmや105mmの望遠レンズを使うときは、気持ちの中で勝手に女の子にズームしていて実際の距離は近づけない、という感覚で使い分ける」とその違いを明かしました。
青山裕企さんは、人間がものを見る基準は肉眼であり、レンズでいえば視野=画角の広がらない単焦点レンズと喩えます。しかし、人間は集中したり、強く見たかったりするとき、意識的に注目する=ズームすることはあるため、この身体的動作をレンズで表現しているのだと言います。青山裕企さんは40mmか50mmの単焦点レンズを愛用しており、ふたりが使う35mmでは「広角すぎて、自分にとっては俯瞰で見るような、記録する意味合いが大きくなる」と考えているそう。
つまり、使うレンズによって、写真家は2つの距離感を表現しているといえるのでしょう。ひとつは体を近づければ細部が写せ、遠ざければ広く写せるという身体的な距離感。もうひとつはファインダー越しに自身の内面が投影された心理的な距離感です。
写真展でしか味わえない「意図の積み上げ」
写真を発表する場はWebによって爆発的に広がり、手軽になりました。その時代にあって、写真家が個展をやる意義はどこにあるのでしょうか?
青山裕企さんは「使っているレンズ、プリントの色味、撮っている時の光といった『当たり前の組み合わせ』で作品はできており、その当たり前をどれほど意図できているかが完成度につながる」と話します。
そして、展示スペースのライティングや空間構成も合わさるからこそ、写真展の面白さは「意図の積み上げから逃れられないこと、そして以前の展示に責任を持つ意味での『変わり方』を表現する場所でもあること」と言い表します。写真集やウェブでの表現だけに収まらない写真鑑賞の楽しみに目覚めさせてくれるような言葉です。
トークイベントでは、誰かの写真作品と向き合うとき、そして自らが写真を撮ろうとするときに、頭に浮かべると「撮る/観る」行為がシャープになりそうなセッションが終始交わされていました。
青山裕企さんは本人にとっても念願だったという乃木坂46・生駒里奈さんの10代最後の写真集制作を手がけた他、現在は「30代の女性や男の子を撮っている」と被写体の幅を広げています。
時永大吾さんはギャルを、飯田えりかさんも少女を撮り続ける中で、今回のトークイベント時点から作品が変化していく(あるいは全く変化しない)過程を観るのも、新たな楽しみといえそうです。