え、だってピンクやん! 実は「サケ」は白身魚だってほんと?

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かつて正月の贈答品の定番だった新巻鮭(あらまきざけ)。サーモンピンクと呼ばれる鮮やかな身が特徴のサケは、じつは「白身魚」なのはご存じでしょうか?

マグロやカツオに代表される赤身魚は持久力優先なのに対し、タイやヒラメの身が白いのは瞬発力重視と、構造の違いが色に表れていますが、サケはエサに含まれるアスタキサンチンのおかげで赤く見えるだけで、れっきとした白身魚の一員です。渓流の釣りで有名な「マス」とサケは明確な違いはなく、海に降りればサケ、川で暮らせばマス程度の違いしかありません。シャケ弁当でフツウに食べられている魚なのに「禁漁」期間や区域で保護されているフシギな魚なのです。

■サーモンピンクは「川をさかのぼる」ための色

シャケ弁当に代表されるように、サケを高級食材と思うひとは少ないでしょう。ところがひと昔前は縁起物として扱われ、大晦日の夜ごはんに「年取り魚」として食べる地域も多く、塩漬けされた新巻鮭(あらまきさけ)が贈り物の定番になっていました。鮮やかなピンクの身から「赤身」魚と思われがちですが、サケはれっきとした白身魚。タイやヒラメと同じグループなのです。

赤身魚と白身魚に分類されるのはなぜでしょうか? これはおもに筋肉の違いで、

 ・赤身 … 遅筋(ちきん) ・ 持久力

 ・白身 … 速筋(そっきん) ・ 瞬発力

重視になっているためで、赤身魚は、

 ・持久力 = つねに筋肉に酸素を送る必要がある

 ・酸素 = 鉄分の多いミオグロビンにため込む

の構図から、身に鉄分の多いミオグロビンが多いため赤く見え、「赤身」と呼ばれているのです。

ところがサケは白身魚の一員で、多くのミオグロビンを持っているわけではありません。赤く見るのはエサに含まれる「アスタキサンチン」の色で、川をさかのぼるときに備えた装備。重労働によって多くの酸素を取り込み、活性酸素が増えて筋肉を痛めるため、アスタキサンチンで活性酸素を消すため、と考えられています。激しい運動用に「しっぷ」を持ち歩いているようなものですから、ずいぶん心配性なサカナですね。

■シャケ弁当、改め「マス」弁当?

ニュースなどでは「さけ・ます」とペアで呼ばれるのはなぜでしょうか? じつはサケとマスは明確な区別のないサカナで、「どこ」で暮らしているかで名前が変わるからです。

サケは川をさかのぼって産卵するので「淡水魚」に思えるのですが、海に降りて成長し、産卵のときに戻ってくる「海水魚」とも呼べるので、厳密には遡河(そか)回遊魚と分類されます。対するマスは川で生活するので淡水魚扱いですが、海に出ないだけの話で、生物学的にサケとの決定的な違いはありません。「さけ・ます」と連名で呼ばれるのもこれが理由ですが、サケの缶詰でも「カラフトマス」、スモークサーモンなのに「マス」と表示されている製品もあるので、区別するのかしないのかすらはっきりしない魚なのです。

渓流では「マス」釣りが人気ですが、「さけ・ます」は禁漁エリアや期間が定められている河川も少なくありません。本場である北海道にサケ釣りに行こう! と考えているひとは事前のチェックを、よくわからないときは管理釣り場を利用すると良いでしょう。

■まとめ

 ・身がピンクのサケは「白身魚」

 ・活性酸素から筋肉を守るためのアスタキサンチンがピンク色の元

 ・サケとマスは、生物学上「明確」な違いはない

 ・「さけ・ます」禁漁のエリア/時期があるので、釣りに行くひとは要チェック

(関口 寿/ガリレオワークス)

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