【激震】安倍政権が断行した容赦なき「官僚粛清」の知られざる内幕 (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

内閣法制局の首をすげ替え、「聖域」の自民党税調にもメス

「小役人」の集団に過ぎないのに「法の番人」などと称する内閣法制局による“憲法解釈”も「官僚支配の悪弊」の一つであろう。行政府による憲法の「有権解釈」は内閣の責任において行なうのが当然の道理であり、内閣の一部局に過ぎない内閣法制局などは単なる「助言機関」に過ぎない。それを取り入れるかどうかは内閣自身が決めることだ。

 安倍総理は従来の解釈に執着して抵抗する長官の首をすげ替え、外務省出身の小松一郎を長官に据える「異例」の人事を断行し、2014年の7月に集団的自衛権を限定承認する閣議決定を行った。安全保障環境の変化を顧みず、野党や浮世離れした憲法学者、そして「違憲論」を唱えた宮崎礼壹元内閣法制局長官ら「抵抗勢力」をカでねじ伏せ、2015年に安全保障関連法案を成立させたのは快挙という他はない。

 そして何と言っても安倍総理の「官邸主導」の実現への並々ならぬ熱意を見せつけたのは、これまで「聖域」とまで呼ばれてきた「自民党税制調査会」に初めてメスを入れたことだ。軽減税率の導入にあまり前向きではなかった、衆院当選15回を誇る“重鎮”の野田毅自民党税制調査会長を事実上、更迭したのだ。そして扱いやすい「軽量級」の宮澤洋一議員を後任に据えた。

 毎年の税制改正は「党税調」の野田をはじめ額賀福志郎や伊吹文明ら財務大臣経験者や財務官僚出身などの俗に「インナー」と呼ばれる「税調族」の重鎮たちによる非公式会合によって決められてきた。安部と菅は歴代内閣ができなかったことに果敢にも切り込んだわけだが、政治家の世界でもやはり東大卒のエリートは私大卒の「たたき上げ」には所詮、かなわないようだ。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中
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