【永田町炎上】前代未聞の共産党”開会式”出席と”育休議員”出現の裏にあるもの (1/2ページ)

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Photo by Luke,Ma
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【朝倉秀雄の永田町炎上】

共産党が憲政史上初めて「開会式」に出席した理由

 近頃の政治には前代未聞なことが多い。一つはこれまで「天皇制」を否定し、陛下が開会式で高い「玉座」から「お言葉」を述べられることに反発し、戦後、一貫して出席を拒んできた共産党の志位和夫委員長や山下芳生書記局長ら幹部6名が初めて「開会式」に姿を見せたことであろう。

 共産党は2015年に成立した安全保障関連法案廃止を目的とした野党による「国民連合政府」なるものを吹聴しているが、そうなると、最大の難問は、これまで否定してきた天皇制が最大の壁になる。他の野党は必ずしも天皇制に否定的ではないからだ。当然ながら、軌道修正を迫られることになる。2015年11月、志井委員長が『読売新聞』のインタビューに対し「天皇制をどうするか決めるのは、将来のことだと考えている。『国民連合政府』は暫定的に政権だから、天皇制に一切手をつけることはしない」と語り、天皇制維持を明言しているから、今国会で戦後、初めて「開会式」に出席したことは、宗旨替えしたことを行動で示したとも言えよう。

 ちなみに国会の「開会式」は陛下の「玉座」が旧貴族院の名残りで、参議院にしかないことから、衆議院議長が主宰し、参議院の議場で行なうのが慣例となっている。当然、自分の議席を持たない衆議院議員は空いている席に座るしかなくなるが、全員がありつけるわけではなく、立っていなければなちない者も出てくる。だから衆議院議員の中にはスッポかしてしまう者もいないではない。特に帰化人や帰化人の子孫である議員にはその傾向が強い。筆者が秘書として最初に仕えたI代議士は北朝鮮にルーツを持つ人物であったから、「立っているなんて、パカバカしいや。面倒臭い!」などと嘯いて、およそ出たためしがない。

 もっともこれまで共産党が出席を拒んできたのは、「座る席がない」とか「面倒臭い」などといった単純な理由ではなく、イデオロギーに基づくものだから、志井委員長が式の後の記者会見で「高い『玉座』からお言葉を賜る戦前の形式が踏襲されている」と式の内容の変更を求めたのは、いかにも彼の党らしい。確かに共産党でなくとも、「人間宣言」をしたはずの天皇を戦前さながらに“神”のごとく崇め奉り、皇室の方々を「様づけ」で呼ぶことに違和感を覚える国民もいないではないだろう。その意味では共産党の天皇制に対する考え方だけは一考に値するように思える。

 およそ近代民主国家においては、憲法14条が定めるように「人間はすぺて平等」であり、たとえどんな出自であろうが、資質と能力さえあれば、国家の元首になれる米国のような「共和制」こそが理想の姿であることは言うまでもない。「法の下の平等」の原則から考えれば、「天皇制」──特に「世襲制」は、憲法に「異質」なものを混入しているとしか思えない。筆者は政策秘書として法曹資格を持つ議員にも仕えたが、議論の上で必ず直面するのがこの矛盾であった。

 憲法は21条で「言論の自由」を保障しているが、「天皇制」の是非を論ずることは長く「タブー」とされてきた。実態は暴力団でありながら、右翼団体を標模する不埒な連中の執拗な街宣攻勢が恐怖感を与え、事実上、言論の自由を封殺してきたからだ。公然と「天皇制」を否定してきたのは、共産党くらいのものだろう。筆者も命が欲しいから、これ以上は書かないが、いずれは誰もが堂々と天皇制の是非を語れる時代になってもらいたいものだ。

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