冬はPM2.5本番? 日本の第一人者に「越境大気汚染」の現状について聞いた! (2/3ページ)

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これらへの対策が遅れています。

硫黄分の除去は進んでいるが、その他の主要汚染物質が増加し、そのため「トータルとしての状況は変わらない」と考えられます。

――なるほど。

竹村教授 日本で、石原都知事がディーゼルエンジンの排ガス規制を強化したことがありましたね。あれは「ブラックカーボン」などの汚染物質をターゲットにしたものでした。これは除去するのにかなりコストが掛かるものです。しかし、断行した結果、東京都のPM2.5の状況は大きく改善されました。つまり、やればできるのです。

■かつての日本とは「規模」が違う! インドの大気汚染もひどい状況

――日本もかつて公害などに苦しめられていましたが……。

竹村教授 日本も高度成長期に大気汚染が問題となりましたが、中国の大気汚染が日本と違うのは「規模」です。人口も日本より多く、そのため化石燃料の消費量も多く、大気汚染のひどい都市の数も多く、そのエリアも日本とは段違いに広い。大気汚染物質の絶対量が日本よりも桁違いに大きいのです。

――中国以外の国はどうなのでしょうか?

竹村教授 中国の都市部も確かにひどい状況ですけれども、それよりインドの都市部、またその周辺でも大気汚染はかなり進んでいます。ニューデリーの状況は中国よりもひどいといわれます。

――日本ではあまり報道されませんね。

竹村教授 インドは中国よりも遠く、そのため日本への影響が小さいためでしょう。しかし、中国、インドをはじめアジアの新興国では、経済の発展とともに大気汚染が深刻になっています。特に中国、インドのように人口が多く、そのエリアが広い国ではその影響も大きいのです。

■PM2.5が越境飛来しやすいシーズンは3月頃から梅雨の前半

――冬は大気が安定して、汚染物質も滞留されやすい。そのため、冬のほうが大気汚染がひどくなるという話がありますが……。

竹村教授 それは「発生源付近」において正しいです。冬には大気が安定して、汚染物質の発生源付近で空気が滞留しやすくなります。高さ方向の温度差が小さく、そのため対流が起こりにくいのです。

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