かつてアメリカには太っていることを謳歌する結社があった。「ファットマンズクラブ」の歴史 (3/5ページ)
オイスターの前菜、クリームチキンスープ、茹でたマダイ、ビーフのヒレ肉マッシュルーム添え、ローストチキン、子豚のロースト、シュリンプサラダ、ブランデーソースがけフルーツプティング、チーズとアイスクリームにコーヒーとシガー。こうした夕べの宴は、ウィットと皮肉と大きな笑いの絶えないにぎやかなものだったらしい。
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異様なほどでっぷり太った体型は、美や富のしるしとしては決して褒められたものではない。やはり彼らもまたあざけりの対象であった。「ひえ~、あのお腹、見てごらんよ。あの下に入れば雨に濡れないよ」と子どもにからかわれたりすることもあった。
ファットマンズクラブは、ヨーロッパにも存在したが、やはりアメリカが一番盛んだった。1897年にフランスにLes Cents Kilos(100キロたち)というクラブができたが、流行らなかった。1932年には、セルビア、ベオグラードに同様のクラブができた。イギリスのファットマンズクラブは、ちょっと変則的で、必要体重に満たない会員は、罰金を払わなくてはならず、それがチャリティに寄付される仕組みになっていた。
理想的な体型の変遷
歴史を通してみると、理想的な体型に対する考え方はさまざまに変遷してきた。かつて太った体型は富や地位と結びつけられ、貧乏人ほど食料が足りず、痩せて身長も低いと見られていた。権力や富や地位はできれば欲しい魅力だ。その人の体が聖堂だとすると、聖堂が大きくて立派なほど、見る人の目には重要だと映る。だから太って体格がいい人のほうがどうしても魅力的で、重要な人物のように思えてしまうのだ。
しかし、産業革命がわたしたちの働き方や食生活を変え、デブや健康に対する見方も変わり始めた。肉体労働を必要としない仕事をもつ人が増え、近代農耕法が出現したことによって、食料の供給がより確実になった。大多数を占める中流階級にとって、激しい変動が始まったのだ。つまり、一部の金持ちだけでなく、普通の人たちも労せずして確実に食料を確保することができるようになったわけだ。