秋津壽男“どっち?”の健康学「薬物だけじゃない“依存症”の恐怖 ギャンブル依存は一種の鬱症状だった」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

つまり、おじさんがギャンブルで一文なしになるのと、主婦が買い物で破産するのは、医学的に見て同じ構図なのです。

 セックス依存症も同様です。セックスで得られる快感には「肉体的快感」と、「俺はこんなにモテるんだ」という「精神的快感」が存在します。性的快感を得るだけなら自慰行為で十分ですが、金ができたら風俗に飛んでいく、そんな人がセックス中毒であり、理性と快楽とのバランスが取れない「一種の病気」です。

 ふだん、真面目なサラリーマンやきちんとした主婦であるべく「抑圧」がかかっていると、その抑圧を破り、理性のタガを外すことが快感につながります。「その快感がないと維持できない」人は依存症と見て間違いありませんが、行動依存であるギャンブルや買い物依存症は、脳にある幸せホルモンのセロトニンが足りないため、セロトニンを増やす抗鬱剤を飲むと治ります。

 一方、アルコールなどの薬物障害は、人体に直接的に危害を及ぼすという点で行動依存に比べ深刻です。最近はアルコールやニコチンの依存症を治療する薬も出てきていますが、薬物依存の場合、体に直接的な害を及ぼし、禁断症状も如実に現れるため、医学的には薬物依存のほうがやっかいなのです。いずれの依存症も究極的には「理性との戦い」です。生活に支障を来すほど依存してしまわぬよう自己管理だけでなく、妻や同僚など近しい人たちにも指摘してもらえるような人間関係を築くことが大事でしょう。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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