世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第173回 熊本地震と防災安全保障 (2/3ページ)

週刊実話


 同じく地震で使用不可能になった大津町役場も、竣工が1969年10月であるため、ほぼ筆者と同い年ということになる。すなわち、築46年だ。

 なぜ、宇土市や大津町が老朽化した庁舎の建て替えをしてこなかったのか。1981年に耐震基準が大きく変更されたというのに、旧耐震基準のまま放置されてきたのか。
 もちろん、「財政上の理由」である。わが国は「国の借金で破綻する」「公共事業は無駄だ」といった、財政破綻論、反公共投資論が広まり、その“空気”に影響され、自治体も予算を削減せざるを得ず、非常事態発生時の拠点たる建造物が旧耐震化基準のまま使われ続けてきたのだ。

 今後、行政機関を新耐震基準に建て替えたとしても、未来永劫、大地震が発生しないかも知れない。その場合、「無駄な支出だ」という話になるのだろうか。
 絶対に、違う。
 来るかどうか分からない、来ないかも知れない、とはいえ、来たときの被害が甚大な災害に備えるからこそ、政府が存在するのだ。
 日本国は、早急に全国の病院、市庁舎、学校など、全国の旧耐震化基準の公共建築物を「全て」新基準で建て替えるべきである。そうすることで、将来の日本国民の生命を救うことができる。
 そう考えたとき、わが国に「需要がない」などと考えることが、いかに愚かであるか理解できるはずだ。需要がないのではない。需要から「目を背けている」のが現代の日本国民や政治家の姿なのである。いいかげんに「国民を大規模自然災害から守る」という巨大な需要から目をそらすことはやめるべきだ。

 ところで、東日本大震災の際にも書いたのだが、大地震が発生し、被災地で被災者が苦しんでいるからといって、
 「被災地の方々のために、おカネを使うのは控えよう」
 といった行動をとるのは絶対にやめてほしい。特に、イベント自粛などは最悪だ。
 われわれ日本国民は生産者として働き、モノやサービスを生産し、顧客に消費、投資として支出(購入)してもらい、所得を得る。つまりは、所得とは「誰かがおカネを使わない限り」創出されないのだ。そして、この所得から税金が徴収され、被災地の救援のために使われることになる。
 読者が被災地のことを考え、おカネを使うのをやめてしまうと、その分、誰かの所得が生まれない。
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