世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第173回 熊本地震と防災安全保障 (3/3ページ)
つまりは、税収が減る。被災地のことを考えるならば、むしろこれまで以上におカネを使うべきである。寄付やふるさと納税もいいが、特に熊本県や大分県のモノやサービスを買うことこそが、真の意味で被災地支援になる。経済(経世済民という意味の経済)とは、そういう「仕組み」になっているのである。
もっとも熊本地震のような非常事態が発生すると、経世済民という意味の経済において最も重要なのが何か分かってくる。あるいは経済力の本質が理解できる。
経済力の本質とは、おカネではない。モノやサービスを生産する力、すなわち供給能力だ。
被災地のニーズは刻一刻と変わる。しかし、全国各地のモノを運び込む「運送サービス」の力は低下したままで、今も被災者は苦しんでいる。何しろ、高速道路があちこちで寸断され、しかも阿蘇大橋のようにメーンの橋梁が崩落してしまった地区である。
物資を必要な人、つまりは「需要」の下に届けるのが運送サービスの役割だが、熊本県では実現が困難になっている。運送サービスにしても、「安全保障」の一環を担っているのだ。そもそもロジスティクスとは兵站用語なのである。
非常事態は常に発生し得る。大地震が起きても、国民を可能な限り救う。被災者に物資を必要な分、届ける。この手の防災安全保障を意識することなく、わが国では国民は生き延びることができないと肝に銘じるべきだ。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。