なぜフリーの眼科医は無報酬で1万人以上を失明から救ったのか? (1/2ページ)
『人間は、人を助けるようにできている』(服部匡志著、あさ出版)の著者は、開業することなく、どこの大学や病院にも属してもいないというフリーの眼科医。
14年にわたり、ベトナムで無償の医療活動を続けているのだといいます。
その取り組みは、テレビ東京系列のドキュメンタリー番組『カンブリア宮殿』でも取り上げられたばかりなので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
「フリーの眼科医」というポジションを貫き続ける人がいること自体が驚きですが、1ヶ月の半分は、北は盛岡から南は鹿児島まで、約10ヶ所の病院を渡り歩き、診察と手術を行っているのだとか。
そして残りの半分は、ベトナムの首都ハノイと地方に足を運び、貧しい人たちのために働いているというのです。
自宅で丸一日過ごせるのは年に1日か2日だけだという話にも、十分納得できます。
■お金はすべて「持ち出し」
そういう話を聞くと、つい頭をよぎるのは「どうやって生活しているの?」という純粋な疑問ですが、その答えは意外なくらいにシンプルでストレート。
つまりは日本全国の病院で働いて得た収入で、家族の生活はもちろんのこと、ベトナムでの活動費用もすべてまかなっているということ。
しかもベトナムでは、患者さんからは一切の金銭を受け取らず、渡航費、滞在費、医療品代などもすべて持ち出しなのだとか。
■医者は特別な存在じゃない
「白衣が患者さんに与える威圧感が好きじゃないから、もう何年も白衣を着ていない」
「権力、金銭欲、嫉妬、憎しみ、裏切りが渦巻く環境で、そんなふうに染まるのが嫌だった」
「変なプライドなんか必要ない。困っている人がいたら助けてあげたい」
「目指すは“医者らしくない医者”。医者は特別な存在じゃない」
著者の言葉はそれぞれが真っ当なもので、だからこそ強い説得力があります。
とはいえ、ここまで献身的になれるということにはただ驚くばかり。