ディズニー王国事始め~『白雪姫』がすべてを変えた(1):高橋ヨシキ連載4 (2/5ページ)

ブッチNEWS

当時のドイツではミッキー作品だけでなく、「フェリックス・ザ・キャット」やフライシャー作品などもポピュラーでした。

 ヒトラーとゲッベルスはディズニーのアニメーションのファンでした。ヒトラーはミッキー・マウスの悪口を言ったりもしているのですが、それでもディズニー製の見事なアニメーションに彼らは驚嘆を隠せず、ヒトラーはゲッベルスに対し「ああいった素晴らしいアニメーションを我が国でも作れないものか!」と、国産アニメーション映画の製作に大号令をかけました。これはのちに、「ドイッチェ・ツァイヒェンフィルム」という巨大アニメーション会社(1941年設立)という形をとることになるのですが、このスタジオがものにしたまともなアニメーション映画は『Armer Hansi』(43年)一本だけに終わりました。『Armer Hansi』は、後述する「マルチプレーン撮影」など、アメリカ発のアニメーション技術を意欲的に取り入れた作品ではありますが、いかんせん全体的に野暮ったく、同時期のディズニー作品の洗練と高度な技術には及ぶべくもありませんでした。

http://www.dailymotion.com/video/xwz97i_armer-hansi_animals
(編集部注:動画リンク先は音が出ます)

白雪姫はナチスの精神を表現する?

 今回ご紹介するディズニー初の長編アニメーション映画『白雪姫』は1937年の作品です。そして、ヒトラーは『白雪姫』をを心待ちにしていました。というのも『白雪姫』はもともとドイツの民話をベースとした『グリム童話』からきているので、「古き良きドイツ」のイメージを扇動に用いていたヒトラーにとって、とても好ましい作品に思えたのでしょう。ドイツに『白雪姫』のフィルムが持ち込まれたのは1938年のことです(アメリカでプレミア上映されたのが1937年12月21日です)。ゲッベルス自身がアメリカ公開直後に『白雪姫』の上映権を注文、一説によると1938年にドイツを訪れたロイ・ディズニー(ウォルトの兄)がフィルムを宣伝省に売ったとのことです。ヒトラーはベルヒテスガーテンの山荘にあった専用の映写室にフィルムのコピーを持ち込んで鑑賞したと言われています。

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