吉田豪インタビュー企画:渡辺淳之介「BiSはスクールカーストの最下層系で一般ピープルの星」(1) (2/4ページ)

デイリーニュースオンライン

■結果は出したが、やったことは誉められたものでは……

渡辺 なるほど。僕、自分でこの本を読んでて思うんですけど、ちょっとメンヘラなヤツらとか、いわゆる大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』的な読み方をすれば自信になるかな、みたいな。『グミチョコ』と同じように、「俺は人と違うものがあって、いつか大物になるんだ」的な感じではあるんですけど。でも、大槻ケンヂさんだとちょっと成功しすぎじゃないですか。

──プラス、もうちょっと文学的だったり知的だったりする部分もあるし。

渡辺 そこでいうと僕がちょうどいいかもなって。僕ぐらいだったら、なんかイケそうじゃないですか。わけわかんねえヤツだけど、これぐらいなのに偉そうなこと語ってるから俺でもイケるんじゃねえか、ぐらいの感じにはなるかなって自分で読んでて思いました。

──オーケンさんとの決定的な違いは、渡辺さんはクラスの弱者ではないってことですよね。

渡辺 ああ、僕はクラスの弱者じゃなかったと思います、すり抜ける処世術があったんでしょうね。でも、小学校のときのこととか全然覚えてないんで。いじめられてたかもしれないです。

──生い立ちから掘り下げる本なのに、そこが何も出てこないという(笑)。

渡辺 なんなんだろうな? 嫌な記憶はだいたい消すんですよ。それこそBiS時代もホントにつらかった時期って、たぶん寺嶋由芙とかワキサカユリカって子がいた時代なんですけど。

──グループ内の人間関係が一番ひどいことになってたとき。

渡辺 人間関係がヤバかったときがあるんですけど、それもほとんど覚えてなくて。

──本を読んだら、その頃のエピソードがなさすぎて驚きました。

渡辺 そうなんですよ(笑)。

──由芙さんの名前も全然出てこないし。

渡辺 それは宗像(明将)さん(本の著者)がいろいろあるのかなっていう気はするんですけど。

──由芙さんとも関係が深い人だから、気を遣って削ったんでしょうかね。

渡辺 僕も寺嶋の話はかなりしたはずなんですけど、最初から相当ごっそり抜けてましたね。寺嶋由芙とはなかなか分かり合えなくて……。

──当時から、それぐらいの噂は聞いてました。

渡辺 でも僕、たぶん寺嶋にツイッターでブロックされてないんですよね。ブロックする価値すらない、ブロックに値しない人間だっていう感じかもしれないですけど。仲良くしたいんですけどね。でも、それは空気を読めない人間特有の、なぜこいつは怒ってるんだっていうのが僕はわからないっていう(笑)。

──だからボク、渡辺さんに対しては複雑な感情があるんですよ。アイドル運営としてはものすごい尊敬に値する人だと思ってるし、ただBiS時代にメンバーが精神崩壊してボロボロになってるのを見るとやりすぎだろとも正直思ったしで、複雑なんですよ。素直に全肯定はできないけれども、結果としてはすごいし、おもしろいことをやってきた人っていう感じで。

渡辺 そうなんですよね、やってきたことは誉められたもんじゃないので。

──結果オーライにしてきた感じですよね。

渡辺 はい。一応BiSというものに関してはホントに僕も素人みたいなところから始めるんですけど、3年で武道館に行こうっていうわけのわからない絵空事をまず実現させようとして。

──アイドルグループって、よく「目標は武道館!」みたいな目標設定するじゃないですか。大手事務所所属でもないのにそれが実現できたっていうのは、本当にすごいと思いますよ。

渡辺 すごいですよねー。ホントにラッキーだったんですけど。そこでいうと、ある種BiSっていうものは一般ピープルの星っていうか。ホントにスクールカーストの最下層系の雰囲気を持ったヤツらが目標を実現させた、『がんばれ!ベアーズ』みたいなもんですよね。

──メンバーも正直言ってズバ抜けてるような子はいないし。

渡辺 まったくいないし。武道館が横浜アリーナになったとはいえ、その約束がうまく守れちゃったんでなんとかなったんですけど、ふつうにBiSっていう流れを読み解いていくと、どう考えても成功する話じゃないんですよね。

──ボクもデビュー当時に仕事した時点で、曲もいいしメンバーのキャラも面白いとは思いましたけど、成功するとは思わなかったですからね。

渡辺 だから、ホントにいろんなものがうまく重なったんでしょうね。

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