「クレームの多いお客様の方が楽です」 カリスマ販売員の目からウロコの発想法 (2/3ページ)
すると話すうちに、メンバーの間で「実は、接客する上でいちばんラクなのが、クレーマーなのではないか」という共通認識が芽生えていったんです。
たしかに、クレームをいわれれば腹が立ちます。でも考えようによっては、これほどわかりやすいお客様もいないよね、と。「こうしてほしい」とハッキリ示してくれているわけですから。
その意味では「何も言わない、何も買ってくれない」お客様のほうが難易度は高いよねという話になったんです。
この気づきを得て以来、どうすれば「もの言わぬ」お客様の心を動かすことができるのかを考えるようになりました。
そのころからですね、「お客様はひとり一人違う。だからこそ、ひとり一人、違う対応をしないといけない」と意識するようになったのは。
結果、「ああしたほうがいいんじゃないか、こうしたほうがいいんじゃないか」とアイデアがどんどん出るようになり、接客技術も次第に上がっていったんです。
■「とにかく笑顔で」は思考停止につながる ――いま「ひとり一人に違う対応を」というお話がありましたが、たしかに茂木さんが本書のなかで紹介している接客エピソードはどれも「マニュアル感」がありません。茂木:マニュアルは大切です。でも同時に、越えなければならないものでもあると思っています。
接客サービスの世界において、研修でいちばん最初に教わるのは「笑顔」。とにかく「笑顔が大事」だと叩き込まれます。
元々、日本人は表情が固いからということで、アメリカ式の「スマイル研修」が積極的に取り入れられてきた背景があります。
たしかに、笑顔がお客様へのおもてなしにつながる面はありますが、行きすぎれば「マニュアルをこなしているだけ」になってしまう。
そこで私は、研修の場などで「笑顔より表情」ということをよく言うんです。「二流は笑顔どまり。一流には表情がある」と。
――笑顔よりも表情、ですか。茂木:お客様ひとり一人をきちんと見ていれば、自ずとこちら側の表情もできあがっていくということをお伝えしたいんです。