遠くが見えやすく、近くが見えにくくなる?宇宙飛行士特有の目の病気 (1/3ページ)

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人類が初めて宇宙空間を旅してから、今年で55年です。「火星や月に旅行できる日も、そう遠くないかもしれない」……今や、そんなふうにいわれる時代になりました。


けれども、人間が宇宙に長時間滞在するためには、まだまだたくさんの課題があります。その1つが、「目」の問題です。

今回は、宇宙飛行士に特有の目の病気「VIIP」の謎に迫ります!

宇宙では「近く」が見えにくくなる?

宇宙での視力変化に注目が集まったのは、2011年のこと。アメリカの研究者やNASAの元宇宙飛行士らによって発表された論文がきっかけでした。


この論文によると、宇宙飛行士300人へのアンケートの結果、「近くの見え方が悪くなっている」と回答した宇宙飛行士が全体の約半数を占めていました。具体的には、ただの視力低下ではなく、多くの宇宙飛行士が「遠くが見えやすく、近くが見えにくくなる」と報告しているそうです。


それまで宇宙医学の研究者たちは、宇宙へ行っても目にはあまり影響がないと考えていたので、この報告におどろきました。そして、各国でさまざまな研究がスタートしたのです。


宇宙空間ではなぜ視力が変化するのか?

2011年の論文では、宇宙空間での視力変化をさらに詳しく調べたところ、視神経の部分的な腫れ(視神経乳頭浮腫)、眼球が凸凹になっている状態、脈絡膜(みゃくらくまく:網膜の下の部分)にしわができた状態、白いもやが目の中に見える……など、さまざまな症状が見つかったそうです。


そして、こうした症状があった人たちの中には、脳内の圧力が高い人がいることもわかりました。

このような症状の原因には諸説ありますが、可能性が高いのは、宇宙到着直後の「体液シフト」です。

宇宙の無重力状態では、体液が頭のほうに集まってきます。これが「体液シフト」です。


このとき、目にも体液が集まりますが、特に血管が豊富な脈絡膜の厚みが増します。すると、網膜が前に押されます。そのため焦点が遠くに合いやすくなり、近くが見えにくくなるのです。

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