世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第192回 日本の経済成長をつぶす者 (1/3ページ)

週刊実話

 9月21日、アメリカのニューヨークを訪問中だった安倍晋三内閣総理大臣は、金融関係者らを前に、
 「少子高齢化で労働人口が減少する中、生産性向上の必要性に迫られることで、むしろロボットや人工知能(AI)の活用に拍車が掛かる」
 「高齢化は重荷ではなくボーナスである」
 と語った。

 正直、驚いた。前回「少子高齢化が日本経済を救う」で解説した通り、少子高齢化は日本に衰退ではなく、むしろ経済成長をもたらす。
 少子高齢化で生産年齢人口比率が低下するわが国は、超人手不足が深刻化し、ドローンやロボット、自動運転、パワードスーツ、AIなどの技術投資による生産性向上を迫られる。そして、人手不足期における生産性向上こそが、経済成長をもたらすのだ。中長期的な経済成長は、『人手不足=インフレギャップが、生産性向上=実質賃金の上昇で解決し、豊かになった国民がまたもや需要を拡大。インフレギャップが発生。生産性向上でギャップを埋めると、実質賃金が上昇し、豊かになった国民が−−』という循環構造によってしか達成されない。
 このことを理解すると、わが国にとって高齢化(厳密には少子高齢化による生産年齢人口比率の低下)は、総理が言うようにボーナスであることが分かる。厳密には、経済成長のための絶好のチャンスなのだ。

 筆者は政治家が「少子高齢化は経済成長のチャンス」といった主旨の発言、つまりは筆者のかねての主張と同調する意見を表明したのを初めて見た。少子高齢化による人手不足こそが、われわれに経済成長に必須な生産性向上のための投資を「強制」する。その通りである。
 というわけで、安倍総理大臣は日本経済の問題の本質を理解しているのか、あるいは特定の誰かを富ませる構造改革に背を向け、「日本国民」中心の経済政策にかじを切るのかと思えば、とてもそうは思えない。何しろ、総理は冒頭の発言の直後に、
 「日本の開放性を推進する」
 「一定の条件を満たせば世界最速級のスピードで永住権を獲得できる国になる。乞うご期待です」
 と、外国移民受け入れをアピールしているのだ。

 なぜ、そうなるのか? なぜ、生産性向上のための技術投資、設備投資、公共投資、そして人材投資を、「日本国民の力」で成し遂げると説明できないのか。

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