人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第40回 (1/2ページ)

週刊実話

 閑話休題。大蔵大臣として超多忙な日々を送った田中角栄の“寸暇”は、映画であった。女性の方のモテモテは相変わらず、赤坂の花柳界あたりでは芸者など「自称・田中の女」というのがだいぶいたが、さすがに現職の大蔵大臣ともなると新たに特定の彼女をつくるというワケにもいかなかったようだった。二人三脚の政治活動「同志」としての秘書にして愛人の佐藤昭子と、2人の息子をもうけた元芸者の「神楽坂夫人」辻和子の“面倒”を見ることで精一杯。そうしたスキ間を埋めたのが、もともと大好きな映画鑑賞ということだった。当時の大蔵省担当記者のこんな証言がある。
 「田中の映画好きは昭和29年ごろのまだ副幹事長時代からで、『政界一の映画好き』の声もあった。田中自身から高峰秀子の『二十四の瞳』を観て、涙が止まらなかったとも聞いている。蔵相時代でも、ちょっと時間ができると、よく記者や秘書官に『おい、みんなヒマか。映画へ行こう』と声を掛けていた。有楽町や日比谷にはよく出掛けた。そんなときの田中のいでたちは、お忍びのつもりか大きなマスクをかけソフト帽を目深にかぶってたから、かえって目についたものです。時には、どこからかフィルムを借りてきて大臣室の隣の部屋で、皆で“映画鑑賞会”をやったこともある。そのときは、『局長を全部呼べッ』と“号令”を掛けていましたね。下駄ばき、ナニワ節の田中のイメージとは異なり、特にロマンチックな映画が好きだった」

 年配の映画ファンならご存じであろう『哀愁』『嵐が丘』『心の旅路』、中でも『オーケストラの少女』の主演女優、可憐な姿を見せたディアナ・ダービンには入れ込んで、つくづく「こんな女を女房にしたいなぁ」などとも言っていたそうだ。
 すでに有名女優だったこのディアナ・ダービンのブロマイドは戦地でも忍ばせており、上官に発見され「国賊」としてビンタをくらったこともあったのだった。
 ちなみに他で好きな女優はデボラ・カー、グリア・ガースン、ヴィヴィアン・リー、国内では吉永小百合、佐久間良子のファンでもあった。「外見は穏やかそうでポッチャリ型が田中の好み」(前出・元大蔵省担当記者)で、なるほど佐藤昭子、辻和子の愛人2人もこのタイプに属する。その上で、田中は「オレは旅の泥足をタライで洗ってくれるような女がいい。

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