世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第194回 新幹線整備と経済効果 (1/3ページ)

週刊実話

 新幹線整備と聞くと、反射的に反対してくる人が持ち出すヘリクツに「ストロー効果」と呼ばれるものがある。もともと、ストロー効果とは交通インフラの整備により、都市が衰退する、あるいは「発展する」ことを示す概念である。ところが、わが国では「新幹線が開通することで、地方の人口、所得などが都市部に吸い上げられる」と、主にネガティブな印象で使われ、反・新幹線プロパガンダの一翼を担っている。

 確かに、ネガティブなストロー効果というものは存在する。例えば、北陸新幹線開通前、東京に本社を置くA社は金沢にも支店を置いていた。北陸新幹線が開通したことで、東京から金沢まで余裕で日帰りすることが可能になり、結果的に金沢の支店が閉鎖されてしまった、というケースである。
 とはいえ、新幹線の開業効果は別に「ネガティブなストロー効果」に限らない。というよりも、ポジティブな効果の方が確実に大きくなる。

 2015年3月14日に、北陸新幹線が金沢まで延伸した。開業からの半年間で、北陸新幹線利用者は約482万人に達した。前年同期に同区間の在来線特急に乗車した人と比較すると、何と3倍である。
 金沢市の日本三名園の一つ兼六園の入場者数は、'15年3〜8月に167万人と、対前年同期比で4割増となった。量販店や小売店も観光客でにぎわっている。さらに金沢市では、民間資本による再開発ラッシュで沸いている。
 全国新幹線鉄道整備法により、新幹線建設の費用は、国(中央政府)および当該新幹線鉄道の存する都道府県が負担することになっている。政府の公共事業により建設された新幹線が、金沢の観光、小売りサービスを活性化させ、民間の投資を引き出しているわけだ。

 新幹線は「市場」と「市場」を短時間で結び付けることで、各地域の商圏を互いに拡大させる。特に、東京圏という世界最大のメガロポリスを市場に取り込むことができれば、地方経済は一気に活気づく。
 東京駅から金沢駅まで、北陸新幹線で「乗り換えなし」の最短で2時間28分。結果的に、金沢のサービス産業の市場が「世界最大のメガロポリス」である東京圏に届いた。無論、多少はネガティブなストロー効果もあったのだろうが、金沢の経済全体に対し、圧倒的にポジティブな影響を与えたのが北陸新幹線の金沢延伸であった。

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