チーズ→牛→糞→エネルギー&新素材というエコサイクル(後編) (1/2ページ)
チーズ製造のために飼育している牛たちから排出される大量の糞を見ていて、これからエネルギーや新素材を作り出せないかと考えたという、農産・畜産会社の経営者、ジャンアントニオ・ロカテッリ氏。
右が創始者のジャンアントニオ・ロカテッリ氏、左はクリエイティブ・ディレクターの ルカ・チペレッティ氏
そんなアイデアから始まったプロジェクトによって、糞による会社の冷暖房に使われるエネルギー自給が可能になったり、Merdacotta®という新しい素材が生まれ、それによってできるプロダクツは最近デザイン界からも熱い注目を浴びている。
普通の農畜産業の経営者にしては一風変わったロカテッリ氏、インタビュー後半ではその素顔や子ども時代の思い出に迫る。
■ 体が弱かったけど、意志の強さで空手の黒帯をとった
——現在のお仕事に就かれたきっかけは何だったのですか?
高校では古典を勉強し、大学では法学部を卒業したのですが、家業の農畜産業を継ぎました。でもこの仕事を始めた初期の頃から農業や畜産業を伝統的なものから新しいものへ変えていきたいという思いはありましたね。
実は小さい頃から物を作るのが好きだったので、エンジニアになるのが夢だったのですが。
デザイン的にも評価されサローネ・デル・モービレでは優秀賞を受賞。
——でもそんな小さい頃からの希望が、いまのこのプロジェクトに生きているのではないでしょうか? 少年時代はどんな子どもだったのですか?
そうですね。昔からとてもクリエイティブな子どもでした。何か発明したり、頭に浮かんだいろいろなものを何でも作っている子どもでしたね。
子どもの頃は体が弱かったのですが、その分、精神的にとても強くなりました。体は細くてあまり筋肉質ではなかったけれど、意志の強さで空手の黒帯まで取ったりして(笑)。