寒天プロダクトで、「レクサス デザイン アワード2016」グランプリ受賞した日本人ユニット「AMAM」 (3/5ページ)
他者への思いやりがあって、謙虚で、適度であるという態度や要素がこれからのデザインにはますます必要となってくると思います。
——「レクサス デザイン アワード2016」の募集の際には特に素材の縛りはなかったようですが、天然素材を選んだのはそういう考えに繋がるのでしょうか?
同アワードの募集テーマが「Anticipation(予見)」だったので、そのテーマを受けて、どのような未来に暮らしたいかを考えた時に、まず現状起こっている社会的もしくは環境的問題を無視すべきではないと思いました。
アワードに応募するにあたって村岡と前谷が素材を選んだのですが、素材を選んだ時点では具体的にどう用いようかというのは決まっていませんでした。ただ、そういう問題に取り組むにあたって用いる素材というのは、やはり天然のものがいいのではないかという直感で、寒天という素材を使ってみようという発想になったそうです。それは面白そうだということで僕も賛同しました。
——寒天を素材として使う際に苦労したり、それをデザイン作品として完成させるまでに大変だったのはどういう点ですか?
天然素材なので、自分たちが望んでいる通りの形や固さまたは柔らかさにすることは簡単ではなく、その点で非常に苦労しました。どのような濃度で寒天を溶かすといいのかだとか、形体を保つための乾燥方法など、試行錯誤の連続でした。
今回のアワード用の作品に関しては、大学の研究機関などに素材のための開発協力を依頼しましたが、残念ながら断られてしまったので、最終的には自分たちだけの力でできる最大限の範囲で作り上げました。
![](https://image.dailynewsonline.jp/media/b/8/b8a385cf376cf8796df82d3037126ca2dc5c53ab_w=666_hs=2e897d26ac10d0261eda71a34a0060e4.jpeg)
実験段階中、都内のあんみつ屋からもらった、ところてんの原料である天草の一日分の廃棄で合計54kg(湿った状態)
——そのような苦難を乗り越えて作品を完成し、見事グランプリを取られました。受賞後はどんな変化がありましたか?
寒天一色の生活ですね(笑)。最近は少し落ち着きましたが。