世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第200回 TPPを批准してはならない (1/3ページ)

週刊実話

 次期アメリカ大統領のドナルド・トランプは11月21日のビデオ声明で、来年1月20日に大統領に就任すると同時に、TPPから離脱する意思を通知する方針を示した。就任初日に離脱を他のTPP参加国に通告すると明言したのである。

 そもそも、トランプはNAFTAという自由貿易協定で困窮に陥ったラストベルト地帯(さびついた工業地帯の意)の労働者などに対し、グローバル化批判を展開することで支持を得た結果、大統領選に勝利したのだ。NAFTAにより、アメリカ、カナダ、メキシコ間でモノ、ヒト、カネという経営の三要素の国境を越えた移動が自由化された。特に問題になったのは、アメリカとメキシコの関係だ。
 モノの移動が自由化された結果、アメリカの穀物メジャーが扱う生産性が高い、つまりは「安価」な小麦がメキシコになだれ込んだ。メキシコの主食は小麦である。アメリカ産の安い小麦と競争させられることになったメキシコの小麦農家は、次々に廃業していく羽目になる。
 すると、ヒトの移動の自由化ということで、廃業した元メキシコ農家が雇用を求めて北上を始めた。国境を越え、アメリカ国内で「安い外国人労働者」として働くことになったのである。アメリカの労働者は低賃金で雇用されたメキシコ人労働者と、賃金切り下げ競争を強いられることになった。
 さらに、カネの移動の自由化である。五大湖周辺のミシガン州、ペンシルベニア州などから、工場が続々とメキシコに移転していった。理由はもちろん「メキシコの方が人件費が安いため」である。賃金水準が低いメキシコに工場が移され、現地で生産された安い製品がアメリカに逆輸入されていった。結果的にグローバル企業の投資家、経営者、さらには「アメリカの消費者」も利益を得たが、アメリカの製造業の労働者は割を食う形になったわけだ。

 トランプは大統領選挙のさなか、アメリカ政府の通商政策がグローバル化を促進させ、米国の製造業の雇用を失わせたと主張。ペンシルベニア州で演説した際には、
 「われわれの政治家は積極的にグローバル化の政策を追求し、われわれの雇用や富や工場をメキシコと海外に移転させている」
 と、徹底的にグローバリズムを批判した。そのトランプが大統領に選出された以上、TPP離脱は当然の選択なのである。

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