金正恩氏の「ほめ殺し」で自ら危機を招く在日団体 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正恩氏の「ほめ殺し」で自ら危機を招く在日団体

「ほめ殺し」という言葉がある。元々は、対象を過剰にほめ称えることで有頂天にさせ、発展の芽を摘んでしまうことを意味していた。それが後に、対象をダメにするのを目的として「ほめる」ことをも意味するようになった。

後者の使われ方としては、1987年の「皇民党事件」が有名だろう。右翼団体「日本皇民党」が、金権政治家のイメージの強かった竹下登氏(後の首相)に対し「日本一金儲けが上手い竹下さんを内閣総理大臣にしましょう」との街頭宣伝活動を執拗に行い、自民党総裁レースで苦戦に追い込んだものだ。

偽りの「本国批判」指示

そして今、これに近いことを北朝鮮がやっている。それも身内に対して。意図的にではないのだが、結果的に「ほめ殺し」と近い効果を生んでしまっている。金正恩党委員長は独特のメディア感覚を持っているのだが、そのネガティブな影響を、彼を支持する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が受けているのだ。

北朝鮮の朝鮮中央通信によれば今月1日と2日、「在日同胞青年抗議団」が東京・港区の韓国大使館と在日本大韓民国民団(民団)中央本部の前に宣伝カーで乗り付け、朴槿恵大統領の退陣などを求めて街頭宣伝を行ったという。

当日、民団本部の建物内にいた関係者に確認したところ、次のように語っていた。

「はい。そんなクルマが来ましたね。われわれの反応ですか? いたって小規模な街宣だったし、『どうせ、朝鮮総連が本国から言われてやっているだけだろう(笑)』というぐらいで、ほとんど誰も気にしていませんでした」

朝鮮中央通信は、件の「在日同胞青年抗議団」が朝鮮総連の関係者たちであるとは明かしていない。しかし、ごく小規模だったという街宣について、一大抗議運動が繰り広げられたかのように描写している。北朝鮮メディアがここまでほめるのを見れば、直系の朝鮮総連によるものであるはずだと、誰だって信じる。

それにしても、北朝鮮と朝鮮総連は、どうしてこんなことをするのか。「在日同胞青年抗議団」が東京で「朴槿恵退陣」を叫んだところで、何ら現実的な効果を生まないことぐらい当人たちもわかっているだろう。

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