がん細胞を破壊する「キラーT細胞」をiPS細胞で作ることに成功 (1/2ページ)
Photo via PDPics via Visual hunt
がんの治療は未だに難しい。
そのため、ちまたでは抗がん剤をはじめとするさまざまな治療法についての有効性に関する議論が絶えない。
一方、iPS細胞の応用研究はさまざまな分野で進められており、がん治療の分野でも研究が進められている。
そのような中で、この度京都大学の研究チームが、ヒトiPS細胞から、がん細胞を殺傷する能力を持つ細胞をつくり出すことに成功したと発表した。
■ 患者の外部で免疫細胞をつくる
京都大学ウィルス・再生医科学研究所の河本宏教授らの研究チームが、がん細胞を攻撃して死滅させる『キラーT細胞』と呼ばれる免疫細胞を、iPS細胞からつくることに成功したことを発表した。
『キラーT細胞』はがんを攻撃する免疫細胞の代表的なものだが、がん患者自身が持っている『キラーT細胞』は攻撃力が弱まっている場合が多いという。
そこで、外部から攻撃力が強い『キラーT細胞』を補うことで、がん細胞を死滅させることが期待されていた。
実はこれまでにもiPS細胞から『キラーT細胞』をつくることができていたのだが、攻撃相手の細胞表面にある分子の違いを認識する力が弱かったため、医療への応用が難しいとされてきた。
■ 攻撃力が強化された『キラーT細胞』
しかし、この度作成された『キラーT細胞』は、攻撃対象の分子を認識する力を強化されており、がん細胞を効果的に攻撃することができるようになった。
すなわち、健康な人が血液中に持っている『キラーT細胞』の中に、がん細胞表面の特定のタンパク質に反応するタイプがあることに注目し、そのタイプからつくられたiPS細胞から再び『キラーT細胞』を育てるという手法を使ったのだ。