実はクリスチャンの家系なのに…キリスト教徒を処刑してきた北朝鮮の独裁者たち (1/2ページ)

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実はクリスチャンの家系なのに…キリスト教徒を処刑してきた北朝鮮の独裁者たち

北朝鮮ではクリスマスを公に楽しむことはできない。しかし、金正恩体制とキリスト教は不思議な縁で結ばれている。

憲法上は信仰の自由が認められている北朝鮮でクリスマスを楽しめないのは、キリスト教が事実上の「禁教」として弾圧の対象となってきたからだ。クリスマスを楽しむ習慣も一般的には根付いていない。

その一方、クリスマス・イブにあたる12月24日は、宗教とは関係のないところで、北朝鮮にとって重要な意味を持つ日となっている。北朝鮮のカレンダーにはこう書かれている。

「抗日の女性英雄 金正淑(キム・ジョンスク)同志が誕生された」

地下教会の信者を処刑

金正淑氏は金日成主席の妻であり、金正日総書記の実母、すなわち金正恩党委員長の祖母にあたる。金日成氏を始祖とする金王朝、いわば金氏朝鮮の国母の生誕記念日が、奇しくもクリスマス・イブにあたるわけだ。金氏朝鮮のルーツにまつわる大切な記念日が、禁教であるキリスト教の教祖であるイエス・キリストの降誕を祝う記念日と重なるというのはなんとも皮肉な話だが、北朝鮮はキリスト教に対して時には処刑を厭わず弾圧してきた。

秘密警察である国家安全保衛部(現国家保衛省)は、中国から脱北者が強制送還された際、「中国でキリスト教関係者と接触したか」と厳しく問いただし、場合によっては情け容赦ない拷問を加え、処刑してきた。

かなり古い話だが、2000年には咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)市に住んでいたパク・ミョンイル(仮名)さんが、中国を訪れた際に入手した聖書を所持していた容疑で、国家安全保衛部に逮捕された。裁判を経ずに過酷な人権侵害が常態化している収容所に送られ、その後の安否は不明だ。

2010年には、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)市で地下教会に通っていた23人が逮捕された。主導者3人は処刑され、残りは収容所送りとなった。いずれも、中国でキリスト教に接したのをきっかけに、教会に通うようになった人々だった。

このようにキリスト教を弾圧してきた北朝鮮の体制には、決して国民に知られてはならない秘密がある。金日成氏自身が、クリスチャンの家庭で育ったという事実がそれだ。

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