2016年プロ野球「マニアック解説」伝説の名コーチが徹底指南! (3/4ページ)
その中で特に印象深かったのが、「セとパのリードの違い」だった。
「たとえばセではシュートを投げてボールだった場合、次もシュートという配球はない。80%の確率でないな。シュートがボールになったら、次は外にスライダーとなるわけよ。だけど、パではシュート、シュート、その次もシュート。4球続くこともある。伊東勤に聞いたことがあるんだけど、勝負球らしい。96年にコーチで近鉄に移ったときも、古久保(健二)が2-2のカウントで、ようシュート使うねん。ボールになったら2-3で投手が不利やん、他に使いやすいカウントがあるやろって言うんやけど、古久保も同じこと言ってたわ。勝負球やと。この流れは今も続いてると思うわ」
配球といえば、セ・リーグCSファーストステージの巨人対DeNAで、DeNAの左投手陣が巨人右打者の内角を果敢に攻めて沈黙させたのが記憶に新しい。「正解やね。今の左投手はインコースを攻めるのが下手。外角に真っすぐ、そのあとまた外に緩いチェンジアップを投げる子が多い。その点、DeNAの今永(昇太)は、インコースにいい球を放ってる。今の時代、貴重やね。もちろん、甘く入ると打たれるよ。次の広島戦では内を狙って甘くなって、エルドレッドに打たれたやろ」
「だけど、右投手のアウトロー、左投手のインロー。これが投手の原点。ヤクルトの石川(雅規)が128キロで見逃し三振が取れるのは、外を思わせておいて、内に投げられるからや。それができてたのは、一久かな。インコースを投げられるから、外のスライダーも決まるんや」 野村氏もよく話す“原点”、右打者のインローに投げられない左投手は、投手にあらずということなのだ。
今季のプロ野球で最も話題をさらったのは、広島の躍進だろう。伊勢氏は、どう見ていたのだろうか。「新井(貴浩)がガラリと変わったね。阪神時代に比べて、最初の構えでタメが十分にできとる。それをほどかずにステップできてるから、逆にも打てる。阪神時代は、それを指摘するコーチがいなかった。広島で誰かが指摘したのか、自分で変わったのか。あいつが打つと、ムードメーカーになるしな。新井が打つと、田中(広輔)とか菊池(涼介)は出塁することに専念できる。