【プロ野球】上原浩治が初失点を喫したのはあの打者!? 日本人メジャーリーガーの米デビュー戦を振り返る!
野茂英雄(元ドジャースほか)が1995年に海を渡ってから22年連続でメジャーリーガーが誕生している。
なかでも野茂、イチロー(マーリンズ)、松井秀喜(元ヤンキースほか)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)らのデビュー戦は注目度が高かったため語られる機会が多く、映像を目にしたことが多いファンも多いだろう。
しかし、現在の活躍の割にデビュー戦があまり語られない選手もいる。そこで今回は、そういった選手のメジャーリーグデビュー戦を振り返ってみたい。
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■上原浩治の初失点はなんとあの男!
巨人の上原浩治(カブス)がFA宣言をし、海を渡ったのは2008年シーズンオフのことだった。上原は先発としてメジャーのマウンドに立つべくオリオールズと契約。夢の舞台への切符を手に入れた。
開幕ローテーションに入った上原の相手は、巨人時代の盟友・松井秀喜のいるヤンキース。初回に先制点のプレゼントをもらった上原は、松井もセカンドゴロに抑えるなど順調な滑り出しをみせた。
しかし、4回に簡単にツーアウトを取るもののヒットを打たれ2死一塁。ここで次打者に左中間を破る二塁打を浴び、メジャー初失点を喫する。
この二塁打を放ったのはコーディー・ランサムだった。そう、2014年シーズンに西武でプレーし、キャッチーな応援歌でも人気を呼んだランサムだ。上原に初失点をつけたのが、日本球界に関係のあるランサムというのもまた興味深い。
ちなみに、上原はこの試合5回1失点でマウンドを降り、初先発初勝利を飾っている。
■デビュー戦でサヨナラ被弾の田澤純一!
上位指名が確実視されるドラフト候補がNPBを経由せず、直接メジャー入りする。その初ケースとなったのが田澤純一(マーリンズ)。田澤が契約を結んだのはレッドソックスだった。
田澤はマイナーリーグで実戦を積み、8月にメジャー昇格。その、昇格日にメジャーデビューを果たした。
デビュー戦はヤンキースタジアムでのヤンキース戦。試合は両軍無得点のまま延長14回に突入。田澤はレッドソックスベンチの最後の投手としてマウンドに登ったのだ。
最初に対戦したのは松井。落ち着いて松井をセンターライナーに打ち取る。その後、ピンチを作るも味方のファインプレーもあり、無失点で切り抜ける。
そして、続く15回、デレク・ジーターにヒットを許す。その後、2アウトを奪うが主砲「A-ロッド」ことアレックス・ロドリゲスにサヨナラ2ランホームランを浴びて敗戦投手となった。
「メジャーは甘くないぞ」と、A-ロッドが教えるかのような一発だった。
後に田澤は「A-ロッドの一発に感謝している」とインタビューで述べている。あのホームランをバネに努力を重ねてきたということだ。
そのA-ロッドは2016年シーズンで引退し、田澤はリーグを代表する中継ぎへと成長した。2017年はマーリンズのセットアッパーとして、イチローとともにチャンピオンリングを目指す。
■岩隈久志はデビュー戦で日本に馴染深い打者と対戦!
いまや、「キング」ことフェリックス・ヘルナンデスと並びマリナーズのエース格に成長した岩隈久志。2012年に念願のメジャー入りを果たし、マリナーズと契約した岩隈だが、当初、任された役割は中継ぎだった。
デビュー戦の相手はホワイトソックス。状況は5点ビハインドの6回表からの登板。「モップアップマン」、いわゆる敗戦処理だった。
この試合で岩隈は4回を投げて1安打1失点。メジャーデビュー戦を好投で締めた。打たれた1安打は日本でも「アダム・ダン率」などで名前が有名になったアダム・ダンのソロホームランだった。
この試合では、現在、中日で活躍しているダヤン・ビシエドとも対戦。空振り三振を含む2打数無安打としっかりと封じ込めた。この勝負以降、岩隈とビシエドの対戦はない。
この試合におけるマリナーズの出場選手は現在、岩隈を除いてチームに誰もいない。わずか5年の間にトレード、引退などで全員がチームを去っている。メジャーリーグの移籍の活発さを物語っている。
「メジャーリーグに興味はあるけど、手が回らない」、「選手が多すぎて覚えられない」と思っている野球ファンも多いだろう。しかし、日本に馴染みのある選手たちを関連づけることで、徐々に知識は増え興味も増してくる。
今まで諦めてきた方も、もう一度メジャーリーグにも目を向けてはいかがだろうか。きっと野球の楽しみ方が広がるはずだ。
文=勝田 聡(かつた・さとし)