「餓鬼」とは元々死者を意味していた。「餓鬼」の意味や歴史を調べてみた。 (4/4ページ)
このような餓鬼の1日は人間界の10年に相当し、しかも500歳まで生きるという。
■「餓鬼」にならないための方法とは
これでは、漢字で書く「餓鬼」には全く救いがない。また「餓鬼」そのものも、我々が今いる世界とは全く異なる別世界にいるのではなく、我々のそば近くにいる誰かのひとり…、または我々自身であるとも考えられる。ただ、我々、または我々を知る誰かが「餓鬼」にならないためには、以下の方法があると教えられてきた。
(1)体が行う、殺生・偸盗(ゆとう)・邪淫を行わない
(2)口が行う、妄語・綺語・両舌・悪口を行わない
(3)意が行う、貪欲・瞋恚(しんい、怒り恨むこと)・邪見を行わない
しかし、そうはいかないのが人間の哀しさかもしれない。殺人や盗み、不品行は「絶対しない!したいとも思わない!」という人であっても、誰かに対する嫉妬、恨み節、うわべの褒め言葉、二枚舌、悪口などはついつい言いたくなってしまう。そして、「今は健康でも、将来、自分の身や家族に何があるかわからない!」からと、「見ず知らずの人に施すなんてとんでもない!貧しい人?それは、自己責任!自分には関係ない!」と、吝嗇を続ける人もいる。
そうではなく、必ずしも特定の宗教によらなくても、日本古来から伝わる「施餓鬼供養」などの伝統行事を通して、今ある自分は先祖のおかげであるし、自分自身も今は、健康面や経済的にはさほど困ってはいないが、どこかで貧しさで苦しむ人のためになれば…などと考えつつ、手を合わせるだけの心の余裕、そして自分自身を振り返る客観的な視点が欲しいものである。
参考文献:運命・信仰・迷信・供養・餓鬼の話、 往生要集 (同時代ライブラリー―古典を読む (281))、 日本民俗大辞典 上、 初期仏教経典 現代語訳と解説 餓鬼事経 死者たちの物語