「餓鬼」とは元々死者を意味していた。「餓鬼」の意味や歴史を調べてみた。 (2/4ページ)
そして「餓鬼」の概念が古代中国に伝わり、漢字に翻訳される際、死者の霊を「鬼」と言っていたことから、「鬼」と呼ばれ、更に「祖霊」信仰における、子孫の供え物を待ちこがれ、餓えているものであるとして「餓鬼」と呼ばれるようになっていったという。
更に仏教においては、生きとし生けるものが輪廻する範囲を生存領域(趣 Gati)と呼び、5種或いは6種あると考えられた。人間を中心として、人間よりも優れた存在の神々、人間より劣った存在としての、畜生・餓鬼・地獄、または畜生・阿修羅・餓鬼・地獄の3種または4種が想定されていた。こうした中で「餓鬼」は「生き物」(有情 Sattva)である。石や水のような無生物ではない。善とも悪とも決定されず、人の修行の妨げになるものではないとされる。ただ、幽霊のようにふわふわとどこかに漂っている存在だという。
■そしてその「餓鬼」が日本に伝わった
そしてそのような「餓鬼」たちは日本に伝わるうち、漢字の表す意味、「餓えた鬼」、がそのまま伝わった。仏教伝来当時、日本の僧侶たちによく読まれたという、2世紀にナーガルジュナ(龍樹)によってなされた『摩訶般若波羅蜜経』の注釈書である『大智度論(だいちどろん)』によると、「餓鬼」は、このように記されていた。
『腹は山谷の如く、咽は針身の如し。唯だ三事(3つのもの)のみあり、黒皮と筋と骨なり。無数百歳に飲食の名を聞かず。何ぞ況や見ることを得んや。復た鬼あり、火が口より出づ。飛蛾が火に投せば、それを飲食と為す。糞、涕唾、膿血、洗器の遺余を食するものあり。或は祭祀を得し(子孫が祀ってくれるので、供物を食することができる)、或は産生の不浄を食す。』
そして「餓鬼」のみならず、人間も、餓えたときにはどんな悪いことでもするということで、鎌倉時代に成立した『餓鬼草紙』などに、異様な雰囲気や性質が表現されるようになっていった。
■「餓鬼」の特徴や性質。「餓鬼」の受ける苦しみとは。
しかも「餓鬼」が飢渇に苦しんで得脱できないのは、子孫が供え物をしないからであるとも考えられ、「餓鬼」が祀り手のいない無縁仏などの霊魂と同義語になり、それらを懇ろに祀らなければ、ムラや家に祟りを及ぼすと考えられてきた。