【プロ野球】決定! 「この野球マンガが現在進行形ですごい!」2017【4位~次点編】 (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

■5位:『群青にサイレン』(桃栗みかん/集英社「月刊YOU」連載、既刊3巻)

【あらすじ】
修二と空はイトコ同士。かつて空のせいで野球をやめた修二は、高校の入学式で空と再会。体の小さな空を見て、「今なら勝てる」と思った修二は野球部へ入部することに……。

【選定理由】
ツクイ 圏外(0pt)/オグマ 3位(5pt)/計5pt

オグマ:『いちご100%』などで知られる河下水希先生が、あえて「桃栗みかん」という昔のペンネームに戻して勝負した野球マンガです。シンプルなまでに“バッテリーの関係性”に焦点を当てた作品。バッテリーといえば友情、尊敬、思いやり、といった固定観念にとらわれがちですが、『群青にサイレン』の場合、むしろ呪いにも似た復讐の念というか。

ツクイ:だね、オトコの劣等感と嫉妬心。こじらせ男子の主人公・修二が持つ、従兄弟・空へのわだかまりを解くための野球マンガという、ね。正直、「すごいところにボールを投げ込むな!」と思いました(笑)。

オグマ:それでいて野球描写もしっかりしているのが魅力です。何よりも驚かされるのが、ここまで野球にこだわった作品を女性マンガ誌で描いているということ。

ツクイ:キャッチャーのプロテクターとか、本当に美しく描き込まれていますよね。もちろん桃栗先生の絵が巧いのはわかっていましたけど、野球シーンもここまで描けるのかという驚きはありました。たぶん女性マンガ誌に掲載されたなかで、史上もっとも野球描写が巧い作品なんじゃないかな。

オグマ:あと、こんなにモノローグが多い野球マンガ作品もないですよね。

ツクイ:まあ基本的には、ツンデレ修二くんの空への葛藤を愛でるマンガですからね(笑)。「本当は好きなんだろ!?」からの関係性というか。そういう意味では、終着点は見えているわけですよ。それでも、1巻より2巻のほうが面白いし、2巻より3巻のほうが面白い。ただ、作品の目的が野球に勝つことじゃないので、クライマックスへと落とし込んでいくタイミングが難しそうですよね。

■次点:『WILD PITCH!!!』(中原裕、原案協力:加藤潔/小学館「ビッグコミックスピリッツ」連載、既刊3巻)

【あらすじ】
ドラフト指名漏れの屈辱を味わった城戸拓馬は野球を諦めきれず、独立リーグで現役を続ける道を選んだ。プロとは異なる選手個々の力、モチベーションのなか、拓馬はどんなピッチングを見せるのか?

【選定理由】
オグマ:『ラストイニング』の中原先生が選んだ次の舞台は“独立リーグ”でした。野球マンガでは意外と描かれてなかった領域ですよね。

ツクイ:ちょうど1年前に始まった作品なんですけど、当初はストーリーがどう進んでいくのかが読めない、評価の難しいマンガでした。独立リーグというニッチな分野を選んだことで、尻すぼみになっていく可能性もあったと思うんです。しかし、ここにきて“独立リーグの先”が見えてきたことで俄然、面白くなってきました。やっぱり中原先生は、野球シーンを描かせたら当代随一のアーティストですから。野球マンガには迫力も独創力も必要だと思いますけど、中原先生の絵には加えて「このフォームでこうバットに当たったらそこへ飛ぶ」といった説得力がある。同じ打者でも、打った球種やボールのとらえ方によって、フォームが描き分けられてますから。さすがですよ。

オグマ:作中ではプロの球団エクスパンションもテーマのひとつ。現実世界でも話題にのぼるテーマをどう描いていくのか? という期待値もあります。

ツクイ:たとえば『MAJOR』の吾郎がいち早く高卒で渡米していたように、マンガの世界に現実が追いついてくる、という話はよくあることですからね。今後の展開が楽しみです。

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