ラブホ覗きを30年続けた男が見た「幸福なセックス」と「不幸なセックス」 (1/3ページ)
不謹慎な話から始めてみよう。
もし、絶世の美女か、あるいは自分好みの女性がパートナーとセックスをする現場を、リスクを取ることなく(つまりバレる心配のない状況で)覗くことができるとしたら、あなたは覗くだろうか?
「覗く!」と断言するのははばかられるにしても、2つの意味で悩ましい問いには違いない。
つまり、美女がいたす現場を見られるという、あくまで「ポルノ」としての興味を禁じ得ないということ。そして、ポルノではない「他人の素のセックス」を見る体験は、私たちにとって限りなく希少だということである。

隣人宅の寝室というのは決して明らかにならない謎だ。
『覗くモーテル 観察日誌』(ゲイ・タリーズ著、白石朗訳、文藝春秋刊)はこの謎を明らかにしたい欲望に抗えなかった男の30年にわたる記録である。
アメリカのジャーナリスト、ゲイ・タリーズのもとに一通の匿名の手紙が届いたのは1980年の年明けだった。
その手紙には、
などといったことが綴られていた。
手紙の主に興味を持ったタリーズは、手紙の主が住んでいるというコロラド州デンヴァーを訪れる。約束の場所にやってきたのはジェラルド・フースという40代の男だった。
念のため説明しておくと、「モーテル」とは自動車旅行者などに向けたホテルのことで、「ラブホテル」として利用されることも多い。