【プロ野球】プロ2年目に14本塁打。「広島産和製大砲」の夢はいまだ醒めず。ロマン砲・岩本貴裕が愛される理由 (2/2ページ)
■【愛される理由(2)】少年のような風貌
生まれ持った広島愛のDNAでファンの心をつかむ岩本は、巨体には似つかわしくない、少年のような風貌の持ち主でもある。そのルックスもファンに愛されるもう1つの理由だ。
岩本は、広島商、亜細亜大という日本屈指の厳しい練習で名を轟かせる野球部で鍛え抜かれてきた。しかし「修羅場」を潜り抜けてきたとは思えないほど朴訥な顔つきをしているのだ。
亜細亜大出身の同僚、永川勝浩、九里亜蓮、薮田和樹らは「修羅場」を耐え抜いた者ならではの鋭い目つきをしているが、岩本の表情はその対極にあるように見える。
その朴訥さとギャップが魅力となり、岩本は「ガンちゃん」との愛称で親しまれている。
■【愛される理由(3)】最大の魅力は長打を夢見させるロマン
岩本がファンから愛される3つ目にして最大の理由は、やはりロマン溢れるパワーに尽きる。
その長打力はすでに実証済みだ。プロ2年目の2010年7月4日に初本塁打を放つと、そこから2カ月で14本の本塁打を量産。あの衝撃を知るファンは、岩本こそ広島の主砲を担う男だと確信していた。
それ以降は、ケガもあり、現在まで寂しい成績のシーズンが続くが、あのときのインパクトはファンの脳裏に鮮明に焼きついている。その印象がすごすぎただけにヤキモキさせられるのだが、それもポテンシャルの高さを知るが故のこと。ファンから向けられる期待と愛の大きさはチーム屈指といえる。
近年はレギュラー候補に名前が挙がらなくなってしまったが、「広島産の和製大砲」というロマンにはファンの夢がつまっている。
今キャンプで放った一発をきっかけに奮起することを大いに期待したい。今年こそロマンに終わらぬよう潜在能力を開花させ、ファンからの愛に「結果」という形で応えてほしい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)